外傷性脳損傷(TBI)がアルツハイマー病(AD)や認知症のリスク上昇と関連していることが疫学研究から示されている。一方、TBI後の神経リハビリテーション(神経リハ)がそのリスクを抑制し得ることを示唆する、複数の研究結果が報告されている。ただし、神経リハ開始のタイミングによってAD等のリスクが異なるのかは明らかでない。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のAustin A. Kennemer氏らはこの点について、リアルワールドの医療情報データベースであるTriNetXを用いて、米国内の大規模医療機関69施設の患者データを解析し検証した。結果の詳細は「Journal of Alzheimer's Disease」に10月9日掲載された。 2000~2019年に中等度または重度のTBIと診断され6カ月以内に神経リハを受けていた50~90歳の患者から、TBI前にAD、認知症、軽度認知障害(MCI)の診断またはAD関連薬剤の処方記録がある患者を除外した3万7,081人を抽出。このうち2万8,157人は神経リハがTBI後1週間以内に開始され、8,924人は1週間以上経過してから開始されていた。 人口統計学的因子(年齢、性別、人種/民族)、社会経済的因子(教育歴、雇用状況、居住環境など)、およびTBIや認知症のリスクに影響を及ぼし得る疾患等の既往歴(糖尿病、肥満、心血管疾患、COPD、薬物乱用など)について傾向スコアマッチングを行い、各群8,818人からなるコホートを作成。3年後および5年後の追跡調査時点のAD発症を主要アウトカム、MCI、認知症、およびAD関連薬剤の処方を副次的アウトカムとしてリスクを比較した。なお、神経リハ早期開始群は平均年齢64.0±9.09歳、女性41.1%、後期開始群は同順に63.9±9.05歳、40.9%だった。 Cox比例ハザードモデルでの検討の結果、神経リハ早期開始群の後期開始群に対するADリスクは、3年後(ハザード比〔HR〕0.59〔95%信頼区間0.41~0.86〕)および5年後(HR0.70〔同0.52~0.94〕)ともに有意に低いことが示された。同様に、認知症(3年後がHR0.77〔0.68~0.88〕、5年後が0.88〔0.79~0.98〕)、MCI(同順に0.71〔0.60~0.84〕、0.72〔0.62~0.84〕)、AD関連薬剤の処方(0.69〔0.56~0.84〕、0.79〔0.66~0.93〕)のいずれも、早期開始群の方が有意に低リスクだった。 Kennemer氏は、「われわれの研究結果は、TBI後の迅速な神経リハ開始が、長期予後にとり重要であることを示している」と述べている。(HealthDay News 2025年12月5日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/immediate-neuro-rehabilitative-therapy-after-tbi-cuts-alzheimer-disease-risk Abstract/Full Texthttps://journals.sagepub.com/doi/10.1177/13872877251385262 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock