常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)患者は末期腎不全やステロイド使用など術後合併症リスクを高めうる背景を持つことが多く、腎摘除術の適応には慎重な判断が求められてきた。今回、全米手術データベースを用いた後ろ向き解析により、低侵襲アプローチが合併症や在院日数などの周術期アウトカム改善と関連することが示された。詳細は、12月17日付で「Urology Practice」に掲載された。 ADPKDは最も頻度の高い遺伝性慢性腎疾患で、腎嚢胞の増大により腎機能低下や腹部圧迫症状を来し、末期腎不全に至ることが多い。症状緩和や腎移植スペース確保を目的に腎摘除術が行われることがあるが、ADPKD患者における腎摘除術の周術期アウトカムは全国規模では十分に検討されていない。既存研究は単施設・小規模にとどまり、患者説明や医療の質評価に用いるエビデンスが限られていた。こうした背景から、米オハイオ州立大学総合がんセンターのMichael Waseer Bacchus氏らは、米国外科学会医療品質向上プログラム(NSQIP)データベースを用いて、ADPKD患者に対する片側および両側腎摘除術後の周術期アウトカムを解析した。 本研究は、NSQIPデータベースを用いた後ろ向き解析である。2015~2022年に、ADPKDの診断コードを有し、腎摘除術に該当するCPTコードで手術を受けた18歳以上の患者を対象とした。患者背景として、年齢、BMI、喫煙状況、併存疾患(高血圧症、糖尿病、COPD、うっ血性心不全)、透析施行状況、術前ステロイド使用、貧血の有無を収集した。手術関連因子として、低侵襲手術(腹腔鏡またはロボット支援下)か開腹手術か、および執刀医の専門科を評価した。主要評価項目は術後30日の重大合併症(死亡、心停止、心筋梗塞、肺塞栓、脳血管障害、敗血症ショック、再手術、再挿管、透析を要する腎不全)の発生率とした。副次評価項目として、在院日数、輸血率、手術時間、再入院率などを評価した。統計解析にはt検定、χ²検定、ロジスティック回帰分析を用いた。 対象は823例で、年齢中央値は54歳であった。術前の併存症として、高血圧(79.3%)、透析(49.2%)、ステロイド使用(44.8%)が高頻度にみられた。低侵襲手術が行われたのは344例(41.8%)であった。 術後30日以内で206例(25.0%)に何らかの合併症が発生し、重大合併症は58例(7.0%)、死亡は4例であった。重大合併症では感染性の合併症が多かった。また、低侵襲手術を受けた患者では、開腹手術を受けた患者と比較して在院日数の短縮(3日 vs 6日、P<0.05)、輸血率の低下(7.8% vs 29.1%、P<0.01)が認められた。 単変量解析では低侵襲手術(オッズ比〔OR〕 0.269、P<0.001)、ステロイド使用(OR 0.486、P=0.015)など複数の因子が合併症リスク低下と関連したが、多変量解析では低侵襲手術、非喫煙、COPD非合併が独立した関連因子として残った。透析の有無および両側腎摘除には、有意な関連は認められなかった。 著者らは、「ADPKD患者に対する腎摘除術では、透析や腎移植後といった背景因子にもかかわらず重大合併症や死亡はまれであり、技術的に可能な場合には低侵襲手術が有用である」と述べている。(HealthDay News 2025年12月23日) https://www.healthday.com/healthpro-news/kidney-health/major-complications-seen-in-7-percent-with-adpkd-undergoing-nephrectomy Abstract/Full Texthttps://www.auajournals.org/doi/10.1097/UPJ.0000000000000921 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock