動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)イベントのリスクスコアによって、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、高血圧網膜症などの眼疾患のリスクを層別化することも可能であるとする研究結果が報告された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイビッド・ゲフィン医学部のDeyu Sun氏らの研究結果であり、詳細は「Ophthalmology」に12月29日掲載された。 喫煙や高血圧、脂質異常などのASCVDのリスク因子が加齢黄斑変性などのリスク因子でもある可能性が、横断研究から示されている。しかしASCVDリスクと眼疾患発症の時間的な前後関係や影響の程度などについては明らかでない点が多い。これを背景にSun氏らは、プライマリケアで使用されているプールコホート方程式(PCE)によるASCVDリスクスコア(PCEスコア)と五つの主要な眼疾患のリスクとの関連を、米国の大規模医療データベース「All of Us(AoU)」を用いた前向きコホート研究により検討した。 PCEスコアは、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)が開発した指標であり、年齢や性別、喫煙習慣と一般的な臨床検査データなどから、向こう10年以内のASCVDイベントリスクを予測するもの。本研究では、イベントリスクが5%未満を低リスク(解析対象の48.6%)、5~7.4%を境界域リスク(29.2%)、7.5~19.9%を中リスク(12.8%)、20%以上を高リスク(9.4%)と層別化した。AoU参加者のうち年齢が40~79歳で、PCEスコアの算出に必要なデータが6カ月以内に収集されていて、ASCVDおよび関連性を解析する眼疾患の既往のない3万5,909人(平均年齢56.3±9.2歳、女性63.2%)を解析対象とした。 追跡期間6年間での眼疾患の発症リスクを、PCEスコアの低リスク群を基準として、人種、BMI、慢性腎臓病、教育歴を調整して検討。その結果、PCEスコア高リスク群は、加齢黄斑変性(AMD/ハザード比6.22〔95%信頼区間4.85~7.96〕)、糖尿病網膜症(DR/HR5.93〔同4.32~8.15〕)、高血圧網膜症(HTR/HR4.47〔3.06~6.51〕)、網膜静脈閉塞症(RVO/HR3.38〔2.20~5.17〕)、緑内障(HR2.33〔2.05~2.65〕)と、検討した全ての眼疾患の有意なリスク上昇が認められた。 モデルの適合性や予測精度を意味する調整C統計量は、HTR(0.768)やDR(0.751)、AMD(0.72)では高く、RVO(0.654)と緑内障(0.625)では中程度であった。感度分析として実施した、追跡期間を5年または7年とした解析でも、これらの結果は一貫していた。さらなる解析により、PCEスコアとAMDの関連は主に年齢によって説明されたものの、DRやHTRとの関連は年齢調整後も依然として強固であった。 著者らは、「本研究の結果は、プライマリケアにおいてPCEスコアを用いることで、眼疾患リスクの高い人を特定し、早期に介入できる可能性を示している」と述べている。(HealthDay News 2025年12月30日) https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/pooled-cohort-equations-cv-risk-score-stratifies-risk-for-ocular-disease Abstract/Full Texthttps://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(25)00802-4/abstract Copyright © 2026HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock