高眼圧を意味する22mmHg以上という数値が、緑内障を診る眼科臨床医にいまだ強い影響を及ぼしている可能性が報告された。米ユタ大学のAshley Polski氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Ophthalmology」に1月8日掲載された。 かつて長い間、緑内障は高眼圧によって視神経が障害される病気と考えられ、疫学研究での平均値より2標準偏差高い21mmHgが眼圧の基準範囲上限とされてきた。しかし現在では、緑内障の病態には眼圧以外の因子も関与し、眼圧が21mmHg以下でも視神経の障害が発生・進行し得ることが広く認識されている。そのため視神経乳頭陥凹拡大等が認められる場合は、ベースラインの眼圧にかかわらず眼圧下降治療を開始・強化する必要がある。とはいえ、高眼圧が病態の首座として長らく位置付けられていたことから、現在でもなお多くの眼科医が眼圧を指標とした緑内障治療を行っている可能性も考えられる。 以上を背景としてPolski氏らは、米国の眼科診療レジストリ(Sight Outcomes Research Collaborative;SOURCE)のデータを用いて、眼科医の治療意思決定における眼圧値の影響を検討した。SOURCEは米国内の大学付属眼科医療機関が構築しているレジストリであり、本研究では2009年10月~2022年1月における7施設の患者のうち、眼圧12~25mmHgの緑内障患者9万4,232人(平均年齢69.5±10.8歳、女性58.1%、18万4,504眼)を解析対象とした。 合計186万6,801回の受診が記録されており、そのうち24万8,349回が治療の開始や強化の契機となっていた(1週間以内の眼圧降下薬の新規処方または追加が93.6%、4週間以内のレーザー治療が3.7%、8週間以内の緑内障手術が2.7%)。定性的な検討から、眼圧が高値であるほど治療が開始・強化される割合が高くなるという関係が浮かび上がり、特に22mmHg以上となった場合にその割合が顕著に上昇する傾向が見られた。 次に、混合効果ロジスティック回帰モデルを用いた解析を実施。その結果、眼圧が22mmHgとなった場合、それより低値の場合に比べ治療が開始・強化されることのオッズ比(OR)が1.1110(95%信頼区間1.0809~1.1420)であり、治療開始のみでの検討ではOR1.2314(同1.1792~1.2859)であることが示された。 著者らは、「われわれが研究対象とした臨床医は、眼圧が高値であるほどリスクが高いと捉え治療を強化しているようだ。その一方、かつて重要視されていた眼圧の基準値が、現在もなお臨床での意思決定に影響を及ぼしている可能性が示唆された」と述べている。 なお、数人の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。(HealthDay News 2026年1月12日) https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/clinicians-use-intraocular-pressure-as-continuous-risk-factor-for-glaucoma-management Abstract/Full Texthttps://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/fullarticle/2843764 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock