妊娠中の抗うつ薬使用は、児の神経発達症リスク上昇との明確な関連を示さなかったという研究結果が、「The Lancet Psychiatry」6月号に掲載された。香港大学(中国)のJoe Kwun Nam Chan氏らは、母親および父親における妊娠前または妊娠中の抗うつ薬使用と児の神経発達症リスクとの関連を評価するため、システマティックレビューを実施した。37件の研究(抗うつ薬曝露妊娠64万8,626件、非曝露妊娠約2500万件)に基づく解析の結果、抗うつ薬への出生前曝露は、児の神経発達症リスクのわずかな上昇と関連していた(相対リスク〔RR〕1.13)。これには、注意欠如多動症(ADHD、RR 1.35)および自閉スペクトラム症(ASD、RR 1.69)が含まれた。知的発達症、運動障害、発話障害および言語障害との間に有意な関連は認められなかった。ASDリスクについて、高用量曝露と低用量曝露との間に有意差は認められなかった。受胎時期における父親の抗うつ薬使用はASDと関連していなかった。一方、母親における妊娠前の抗うつ薬使用においても、妊娠中の使用と同様の関連が認められた。母親の精神疾患、家族性または遺伝的影響、誤分類などの交絡因子を調整した感度解析では、関連は減弱するか有意でなくなった。陰性対照として、パートナーの妊娠中における父親の抗うつ薬使用は、ADHDリスク上昇(RR 1.46)およびASDリスク上昇(RR 1.28)と関連しており、この関連が薬剤そのものではなく、親のメンタルヘルスや遺伝的因子を反映していることが示唆された。共著者である同大学のWing Chung Chang氏は、「妊娠を予定している多くの親が、妊娠中の薬剤使用による児への影響を心配していることは分かっている。本研究は、一般的に使用されている抗うつ薬が、児のASDやADHDなどの神経発達症リスクを高めないことを示すエビデンスを提供するものである」と述べている。なお、2人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2026年5月19日) https://www.healthday.com/healthpro-news/mental-health/parents-antidepressant-use-not-linked-to-neurodevelopmental-disorders-in-offspring Abstract/Full Texthttps://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(26)00089-1/fulltext