多発性硬化症(MS)、運動ニューロン疾患(MND)、パーキンソン病(PD)の有病率は経時的に上昇しており、その上昇を説明する因子は疾患によって異なるという研究結果が、欧州神経学会年次学術集会(EAN 2026、6月27~30日、スイス・ジュネーブ)に合わせ、「Neurology」に6月5日掲載された。ソルボンヌ大学(フランス)およびパリ脳研究所(フランス)のOctave Guinebretiere氏らは、PD、MS、MNDの有病率、発生率、診断時平均余命の経時的推移を検討するため、スウェーデンとフランスで、全国規模の人口ベース後ろ向きコホート研究を2件実施した。その結果、統合モデルでは、2003年から2022年にかけて、PD、MS、MNDの年間有病率はいずれも有意に上昇していた(1年当たりの有病率比はそれぞれ1.014、1.029、1.028)。経時的に見ると、PDとMSの粗発生率はいずれもほぼ安定していたが(1年当たりの発生率比〔IRR〕はそれぞれ0.998、0.992)、標準化発生率ではPDでより明確な低下が認められた一方(同0.986)、MSではほとんど変化がなかった(同0.995)。MNDの粗発生率(同1.018)と標準化発生率(同1.008)はいずれも経時的に上昇していた。2003年から2013年にかけて、PDでは診断時点の平均余命が延長したが(暦年当たり+0.95カ月)、2013年から2022年には短縮した(−1.20カ月)。MSとMNDでは、研究期間全体を通じて有意な延長が認められた(それぞれ+2.35カ月、+0.34カ月)。共著者であるソルボンヌ大学のThomas Nedelec氏は、「ここには重要なメッセージがいくつかある。これらの神経疾患とともに生きる人の数は大幅に増え続けているが、これは新規症例数の大幅な増加が主因ではないようだ。これは公衆衛生の観点からは安心材料であり、集団レベルでのリスクが劇的に上昇しているわけではないことを示唆している」と述べている。なお、複数の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2026年6月23日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/prevalence-of-ms-motor-neuron-diseases-parkinson-disease-increasing-over-time Abstract/Full Texthttps://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000218072 Editorialhttps://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000218169 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock