1HDN5月21日「パッケージニュース」No. 2

「禁煙」の部屋でもたばこ煙残留物が蓄積

誰もたばこを吸わない部屋にも有害なたばこの煙の残留物が潜む可能性があることが報告された。米ドレクセル大学の研究者らが行った新しい研究により、誰もいない禁煙の教室内でも、空気中にたばこの煙の残留物(副流煙残留物)に関連する微粒子が多く浮遊していることが明らかになった。こうした残留物から有害物質を吸入することは「三次喫煙(third-hand smoke)」と呼ばれている。この研究の報告は「Science Advances」5月9日オンライン版に掲載された。

同大学環境工学科准教授のPeter DeCarlo氏らは、機械的に換気が行われている屋内の大学の教室において、大気中に浮遊する汚染物質などの粒子(エアロゾル)の組成を、質量分光分析計を用いて屋外および屋内の大気測定を4分ごと交互に行い、それぞれのエアロゾルの化学組成を比較した。大気中の成分を分離した結果、空気中に浮遊する微粒子の約30%が副流煙残留物に関連するものであることが分かった。

DeCarlo氏によると、副流煙残留物によりヒトにどれほどの健康被害があるのかは分かっていないが、動物の研究ではこの残留物への曝露が健康に悪影響を及ぼすことが明らかにされているという。禁煙エリアであっても、煙の粒子が換気装置を通して、あるいは衣類によって運ばれて壁や家具に付着する。これらは除去が難しく、何年にもわたり有害な化学物質を放出し続けることがあると、同氏は説明する。電子たばこでも同様の結果が得られることが考えられるとDeCarlo氏は述べ、「禁煙環境でも副流煙残留物への曝露が全くないわけではないことを知っておく必要がある」と警告している。

米国肺協会(ALA)のNorman Edelman氏は、「長い間、受動喫煙(second-hand smoke)の危険性について多くの人が懐疑的であったが、その後の研究が受動喫煙の有害性を証明した。そして今、われわれは三次喫煙と直面している」と述べている。また、「副流煙残留物は、喘息患者など一部の人々にとっては明らかに危険であるが、残る疑問は、一般の人々にとっても危険であるかどうかである」と、同氏は指摘している。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)産業環境医学准教授のSuzaynn Schick氏は「注目すべき点は、ドレクセル大学が20年以上も禁煙であることだ」と述べる。「今回の研究は、わずかな量のたばこの煙でも室内の空気の質に大きな影響を及ぼすことを示す新たな証拠となるものだ。禁煙政策の強化や、禁煙を試みる喫煙者の包括的な支援が公衆衛生上、人々の健康を守る重要な手段となる」と、同氏は述べている。(HealthDay News 2018年5月9日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/smoking-cessation-news-628/smoke-free-rooms-still-loaded-with-smoke-residues-study-finds-733748.html

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1HDN5月14日「パッケージニュース」No. 3

ダニや蚊が媒介する感染症、米国で劇的に増加

米疾病対策センター(CDC)の下部組織である米国立新興・人獣共通感染症センター(NCEZID)の研究グループによる調査から、近年、米国でダニや蚊などのヒトの血液を吸う節足動物が媒介する感染症が劇的に増加したことが分かった。調査では、こうした害虫による感染症の報告数は、2016年には2004年の約3.5倍であったという。調査報告書は「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」5月4日号に掲載された。

NCEZIDは今回、プエルトリコ、米領バージン諸島、米領サモアを含む米国の法定伝染病監視システム(NNDSS)を用いて、蚊やダニ、ノミといった節足動物が媒介する16種類の感染症の報告について、神経侵襲性および非神経侵襲性の両方が全国的に届出義務を負うようになった2004年から、これらの感染症の報告が完全データ化された2016年までのデータを抽出し、分析した。その結果、同期間に報告された節足動物媒介性ウイルス感染症の報告数は累計64万2,602例で、年間報告数は2004年の2万7,388例に対して2016年には9万6,075例と大幅に増加していた。

分析の対象期間とした2004~2016年でダニ媒介による感染症報告数は2万2,527例から4万8,610例と倍増し、累積報告の82%はライム(Lyme)病が占めていた。また、アナプラズマ病とエールリヒア症(Ehrlichiosis)の合計発生率は紅斑熱と同様ほぼ、毎年上昇し、2011年から届出義務の対象となったダニによる寄生虫感染症バベシア症もダニ媒介性感染症の発生率の上昇に寄与していた。一方、蚊媒介性感染症で特に多かったのはウエストナイル熱やデング熱、ジカ熱だった。

さらに、こうした節足動物媒介ウイルス感染症がみられた地域は拡大傾向にあること、また地域によって報告数が多い感染症の種類が異なることも分かった。例えば、ダニ媒介性感染症は75%以上を占め全米各地で発生しているが、特に東部および太平洋沿岸地域で多く、蚊媒介性感染症のうちウエストナイル熱は米大陸部で地方病として周期的な流行がみられ、デング熱やチクングニア熱、ジカ熱の報告はほとんどがプエルトリコや米領サモア、米領バージン諸島に集中していた。

研究グループの一員でNCEZIDのLyle Petersen氏は「今回の調査データから、ダニ媒介性感染症が増加傾向にあることや、感染地域が拡大していることが分かった。また、蚊媒介性感染症の国外からの流入も加速していることも明らかになった」と説明している。

今回の調査結果を踏まえ、研究グループは「各州および地域の保健当局や感染症を媒介する生物を管理する組織がこうした害虫への対策を強化できるよう、サポートする必要がある」と結論づけている。また、「サポートを強化することで、これらの感染症や害虫の検査や、感染の予防や制御を担うスタッフの訓練、一般市民への害虫の咬傷から身を守る方法の啓発などをさらに充実させることができる」としている。

これを受け、米国感染症学会(IDSA)会長のPaul Auwaerter氏は「ライム病やジカ熱など、節足動物媒介性ウイルス感染症によってもたらされる苦しみは極めて大きく、患者やその家族に与える影響は計り知れない。これまで何度となく、こうした感染症による苦痛の軽減を望む数多くの患者を診てきたが、われわれも患者と同様に解決策を求めている」と話している。

また、米レノックス・ヒル病院の救急医であるRobert Glatter氏は、一般の人々にも蚊やダニに咬まれないよう意識してほしいと呼び掛けている。その具体策として、長袖と長ズボンを着用し、特にダニに咬まれるリスクが高い森林や草が多い場所を歩くときは、必ず適切な虫よけを使用するよう助言している。そのほかに、ペットを飼っている人は、定期的にペットにダニが潜んでいないか確認してほしいとしている。(HealthDay News 2018年5月1日)

https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/tick-borne-illness-1000/u-s-illnesses-tied-to-ticks-mosquitoes-are-soaring-733509.html

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1-1HDN5月10日「パッケージニュース」No.3

有効性低いインフルワクチンでも死亡者6万人減

有効性が低いインフルエンザワクチンでも、米国民の約40%が接種することでインフルエンザ感染者は2100万人減り、インフルエンザによる入院者数が約13万人、死亡者が約6万人減ることを示した研究結果が「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」4月30日オンライン版に発表された。この研究を実施した米イェール大学公衆衛生大学院のPratha Sah氏らは「インフルエンザから人々の命を守るためには、ワクチンの有効性の程度よりも、どれだけ多くの人がワクチンを接種するかの方が重要であることが明らかになった」としている。

インフルエンザワクチンの有効性は毎年異なる。2017~2018年シーズンのワクチンの有効性は例年よりも低く、重篤なH3N2型に対する同シーズンのワクチンの有効性はわずか25%と推定されているが、今回の研究結果を踏まえSah氏は「ワクチンの有効性がさらに低かったとしても、ワクチン接種によって数万人の命が救われるはずだ」と指摘している。

Sah氏らは今回、インフルエンザワクチンの有効性が低かった場合の集団における感染者数やインフルエンザに関連した入院者数および死亡者数などへの影響について、コンピューターモデリングを用いて分析した。その結果、誰もインフルエンザワクチンを接種しなかった場合、通常の流行レベルでも1回のインフルエンザシーズンに約7700万人が感染し、約13万人が死亡し、約47万人が入院すると推定された。しかし、ワクチンの有効性がわずか20%であっても、米国民の43%がインフルエンザワクチンを接種すれば、誰もワクチンを接種しなかった場合と比べて死亡者数が半減することが分かった。

また、米国民のワクチン接種率を50%にまで高めることができれば、インフルエンザによる死亡者数をさらに8,400人以上減らすことができ、感染者数も追加で約360万人、入院者数も追加で約2万2,000人減らすことができると推定された。

さらに、Sah氏らは今回の研究で、ワクチンの接種率と有効性のどちらがインフルエンザによる死亡者数により強く影響するのかについても比較検討した。その結果、ワクチンの有効性が40%の場合、接種率が40%から20%に低下するとインフルエンザによる死亡者が3万9,738人増加すると推定された。一方、ワクチンの有効性が40%から20%に低下し、接種率を40%に維持した場合では、インフルエンザによる死亡者は2万8,343人の増加にとどまっていた。

このことから、集団におけるワクチン接種の有効性とは、ワクチンそのものの効果よりも接種率の方が重要であることが示された。Sah氏によると、この結果は多くの人がワクチンを接種して免疫を獲得することで、感染者が出ても感染の拡大を食い止めることができるという「集団免疫」の重要性を示すものだという。

専門家の一人で米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院医療安全センターのAmesh Adalja氏は、この研究を高く評価する。「たとえ有効性がわずかでも、ワクチン接種によってインフルエンザのシーズン中に多くの命を救える可能性があることを明確に示した重要な研究だ」としている。また、同氏は「医師は、インフルエンザウイルスの感染が広がりやすい層をターゲットにワクチン接種を推し進める必要性がある」と指摘している。

では、具体的にはどのような層でワクチンの接種を推進すべきなのだろうか? Sah氏は、「30~39歳の男女」をワクチンの接種率を向上させるべき層として挙げている。同氏によると、この年齢層はワクチン接種率が最も低い一方で、子どもや高齢の両親と接する機会も多いため、インフルエンザウイルスの“橋渡し役”になりやすい。小児と高齢者はインフルエンザの感染リスクや死亡リスクが特に高い層であることから、同氏は「若い成人は、自分自身のためだけでなく、家族や愛する人のためにもワクチンを接種すべきだ」と強調している。(HealthDay News 2018年4月30日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/even-a-bad-flu-vaccine-could-save-61-000-lives-study-733436.html

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Close Up of Soda Cans in Ice with Condensation

「ソーダ税」導入した都市で加糖飲料の消費減

砂糖や人工甘味料などが添加された炭酸飲料などの加糖飲料に課税する「ソーダ税」を導入した米ペンシルベニア州フィラデルフィア市で、当初の狙い通り加糖飲料の消費量が減少したとする調査結果が「American Journal of Preventive Medicine」4月12日オンライン版に掲載された。同市では2017年1月にソーダ税が導入されたが、導入から2カ月以内に甘い炭酸飲料やエナジードリンクを日常的に摂取する人が減り、ミネラルウォーターなどのボトル入り飲料水を飲む人が増えたという。

米国では近年、肥満の一因とされている加糖飲料の消費量を減らすことなどを目的としたソーダ税の導入が広がっている。米国で初めて導入したのは米カリフォルニア州バークリー市だが、フィラデルフィア市はそれに続く二番目の都市としてソーダ税を導入。加糖飲料の価格に1オンス(約30mL)当たり1.5セント(約1.6円)、12オンス(約360mL)のボトルで18セント(約19円)が税金として上乗せされることになった。なお、課税の対象は砂糖や人工甘味料が添加された炭酸飲料やフルーツジュース、エナジードリンクなどの甘い飲料で、ダイエット飲料も含まれる。

今回報告された調査は、米ドレクセル大学公衆衛生学のYichen Zhong氏らがコンピューターで無作為に選んだ番号に電話をかける「ランダム・デジット・ダイヤリング(RDD)」と呼ばれる方法で実施したもの。ソーダ税の導入前(2016年12月6~31日)と導入後(2017年1月15日~2月31日)にフィラデルフィア市民(回答者899人)とソーダ税を導入していない近隣の3都市の市民(同878人)に加糖飲料を飲む頻度や量などについて尋ねた。

その結果、ソーダ税導入から2カ月後までに市民が加糖飲料を日常的に飲んでいる確率は、ソーダ税を導入していない3都市と比べてフィラデルフィア市で40%低かった。また、エナジードリンクを日常的に飲んでいる確率も、3都市と比べてフィラデルフィア市では64%低かった(同0.36)。一方、課税の対象ではないボトル入り飲料水を日常的に飲んでいる確率は、3都市と比べてフィラデルフィア市で58%高かった(同1.58)。

Zhong氏らは「正しい方向に進む第一歩といえるが、(ソーダ税導入による)効果が長期間にわたって持続するかどうかについては現時点ではまだ判断できない」としている。その上で、「フィラデルフィア市のソーダ税の税率は米国内では比較的高く、加糖飲料の価格に課税分を全て上乗せすると約20%の価格上昇につながる」と説明。これに対し、メキシコでは2014年に税率10%で、またバークリー市では2015年に1オンス当たり1セント(約1.1円)でソーダ税が導入され、いずれの地においても加糖飲料の消費量の減少が持続してみられていることを紹介し、価格の上昇によって消費者の行動に影響を与えられる可能性はあることを示唆している。

なお、今回の調査では“Snapple”や“Sunny Delight”といったフルーツ味のジュースは課税対象でありながらも引き続き飲まれている一方で、12オンスの缶入りコーラやダイエットコーラは飲まれなくなってきたことも明らかになった。この点について、Zhong氏らは「含有する糖分の量は炭酸飲料と変わらないが、フルーツ味のジュースは炭酸飲料よりも健康的だという誤解があるのではないか」との見方を示している。

今回の調査報告を受け、米テキサス大学サウスウェスタン臨床栄養学のLona Sandon氏は「課税に反発した市民が一時的に加糖飲料を買わなくなっただけで、ソーダなしではいられないような人は再び買う可能性が高い」と話し、ソーダ税の長期的な効果には懐疑的な見方を示している。同氏は「ソーダ税は以前からそれほどソーダが好きではなかった人や、課税対象となる前から飲むのを控えようと思っていた人には有効かもしれないが、たばこ税や酒税と同様、熱烈なソーダ好きにも影響を与えるためには、相応の税率の引き上げが必要だろう」としている。(HealthDay News 2018年4月12日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/safety-and-public-health-news-585/philly-s-soda-tax-is-working-study-finds-732850.html

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Retired elder man driving a blue car

眠気の自覚なくても自動車事故リスクは高まる

眠気は感じていなくても、睡眠時無呼吸がある人や睡眠時間が短い人は、自動車事故を起こすリスクが高いことが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のDaniel Gottlieb氏らによる研究から明らかになった。同氏は「十分な睡眠を取ることは、心血管や代謝に良い影響を及ぼすだけでなく、事故のリスクを低減するためにも重要だ」と強調している。この研究結果は「BMC Medicine」3月20日オンライン版に掲載された。

この研究は、地域住民において睡眠時無呼吸や睡眠時間、眠気が自動車事故にどのように影響しているかを評価するためにGottlieb氏らが実施したもの。対象は、米国立心肺血液研究所(NHLBI)が実施した前向き観察研究であるSleep Heart Health Studyの参加者のうち、追跡開始から2年後の質問票に回答し、睡眠や自動車運転に関するデータが得られた40~89歳の男女3,201人(平均年齢62歳)だった。

このうち222人(6.9%)に過去1年間で1回以上の自動車事故の経験があった。解析の結果、重症の睡眠時無呼吸があると、睡眠時無呼吸がない場合と比べて自動車事故リスクが123%上昇することが明らかになった。また、軽症~中等症の睡眠時無呼吸の場合でも、睡眠時無呼吸がない場合と比べて同リスクは13%上昇することが示された。

さらに、睡眠時無呼吸がなくても夜間の睡眠時間が6時間と短い場合、睡眠時間が7~8時間の場合と比べて自動車事故リスクが33%上昇することも分かった。しかも、睡眠時無呼吸や睡眠不足による自動車事故リスクの上昇は、過度の眠気を感じない人でも認められることが明らかになった。

この結果について、Gottlieb氏は「十分な睡眠を取っていないと思考力が低下し、反応が遅くなるため、事故のリスクが高まる」と説明。また、「今回の研究では、睡眠時無呼吸が軽症の人の場合、眠気を自覚している人の方が事故リスクは高いことが示されたが、重症の人の事故リスクは睡眠時無呼吸がない人の2倍以上だっただけでなく、眠気の自覚の有無でリスクの差はみられなかった」として、「最も重要なのは、眠気を自覚していない人でも自動車事故リスクは上昇するという点だと考えられる」と指摘している。

睡眠時無呼吸は睡眠中に一時的に呼吸が停止する無呼吸が繰り返し起こる状態を指し、睡眠の質の低下や過度の眠気をもたらす。Gottlieb氏らによると、米国では女性の6人に1人、男性の3人に1人に睡眠時無呼吸が認められる。また、睡眠不足の人も多く、米国の成人の25~30%は睡眠時間が6時間以下であるという。

今回の研究結果を受け、州知事幹線道路安全協会(GHSA)のKara Macek氏は「居眠り運転は深刻な問題でありながら、あまり注目されていない」と指摘する。同氏によると、睡眠不足の米国民は約8400万人に上ることが2016年の調査で明らかになっているという。同氏は「例えば、21時間眠らずに過ごすと、血中アルコール濃度が飲酒運転の基準値である0.08%の状態と同程度の意識状態になる。しかし、居眠り運転は飲酒運転ほど問題視されていない」と話し、質の高い睡眠を十分取ることの価値をより重視する文化に変えていく必要があると強調している。(HealthDay News 2018年4月11日)

https://consumer.healthday.com/sleep-disorder-information-33/apnea-sleep-problems-news-624/even-when-you-think-you-re-not-sleepy-your-car-crash-risk-rises-732810.html

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朝型の人と夜型の人、どちらが長生きする?

早寝早起きが苦にならない朝型の人と比べ、宵っ張りで朝寝坊の夜型の人は短命に終わる可能性が高いことを示唆する研究結果が「Chronobiology International」4月11日オンライン版に発表された。クロノタイプ(日中の活動や睡眠のリズムの傾向)が夜型の人では、朝型の人と比べて早期死亡リスクが10%高いことが分かったという。

この研究は、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部神経学准教授のKristin Knutson氏らが実施したもの。英国の大規模なコホート研究であるUK Biobankに参加した38~73歳の男女43万3,268人を対象に平均6.5年追跡し、クロノタイプと全死亡リスクとの関連について検討した。クロノタイプは質問票を用いた調査データに基づき「完全な朝型」(対象者に占める割合は27%)、「どちらかといえば朝型」(同35%)、「どちらかといえば夜型」(同28%)、「完全な夜型」(同9%)の4つのタイプに分類した。

年齢や性別、民族、喫煙の有無、体格指数(BMI)、睡眠時間、社会経済的状況、併存疾患で調整して解析した結果、完全な朝型と比べて完全な夜型では全死亡リスクが10%高いことが分かった。また、完全な夜型では健康上の問題を抱えるリスクも高く、完全な朝型と比べて精神障害リスクは1.94倍、糖尿病リスクは1.30倍、神経障害リスクは1.25倍、胃腸/腹部疾患リスクは1.23倍、呼吸器疾患リスクは1.22倍であることも明らかになった。

今回の研究は関連が認められたに過ぎず、朝型の人に比べて夜型の人の健康状態が悪い理由も明らかにされていない。Knutson氏は「夜遅くまで起きていると、飲酒や喫煙、間食、ドラッグの使用といった不健康な行動に及ぶ機会が多くなる可能性が考えられる」と指摘。また、「夜型の人は体内時計が朝型の社会生活に適合しないため、長期的にさまざまな問題につながってしまうのかもしれない」との見方を示している。

なお、米マウントサイナイ・ヘルスシステムのAndrew Varga氏は「体内時計と社会生活を送るための行動とのずれによって健康が悪化するという考え方は、日中に睡眠を取り、夜間に働くことが多いシフト勤務者で死亡リスクや心血管疾患リスクなどのさまざまな健康リスクが高いことを示したこれまでの研究でも支持されるものだ」と指摘。「食事や睡眠のタイミングはインスリンの分泌量に影響し、糖尿病リスクを高めることが報告されているなど、生体リズムはさまざまな機序で健康状態を左右する」と説明している。

では、夜型の人はどのような対策を取ればよいのだろうか。Knutson氏は、徐々に就床時間を早め、朝型の生活リズムに合わせるようにすることを勧めている。この際、毎晩少しずつ早めることが重要で、「いきなり通常よりも2~3時間早く寝ようとしても成功しない」としている。また、シフト勤務などで夜型の生活を送らざるを得ない場合には、健康的な食事や運動、十分な睡眠時間の確保などを心掛けることで、健康上の問題をある程度は回避できる可能性があると助言している。(HealthDay News 2018年4月12日)

https://consumer.healthday.com/sleep-disorder-information-33/misc-sleep-problems-news-626/who-lives-longer-night-owls-or-early-birds-732848.html

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Macro of mosquito (Culex pipiens) ready to sting isolated on black

蚊に最も刺されやすいのは中間所得層?

蚊に刺される確率は地域の所得水準によって異なる可能性があることが、米ケアリー生態系研究所のShannon LaDeau氏らによる研究から明らかになった。この研究では、最も蚊に刺されやすい地域は中間所得者が多く住む地域であることが示唆されたという。詳細は「Parasites & Vectors」4月10日オンライン版に掲載された。

LaDeau氏らは今回、米メリーランド州ボルチモア市の5つの地域で約2年間をかけて捕獲した2万匹以上の蚊から採取した胃の内容物のDNAを解析し、最後に吸った血液を調べた。その結果、世帯収入の中央値が約2万6,000ドル(約280万円)の低所得地域では、空き地や手入れが不十分な庭など蚊の繁殖に適した場所が多いため蚊の数は多かったが、この地域で捕獲されたヒトスジシマカが吸った血液の7割超はネズミの血液で、人間の血液の割合は約6%と低かった。

一方、世帯収入の中央値が約5万6,000ドル(約600万円)の高所得地域では、捕獲された蚊の数は最も少なかったが、ヒトスジシマカが吸った血液の半分は人間の血液だった。また、全体的にみると人間が最も蚊に刺されやすいのは世帯収入の中央値が4万1,000ドル(約440万円)の中間所得地域であることが示唆された。

なぜ、地域によってこのような差がみられるのだろうか。LaDeau氏は「それぞれの地域に住む人々の習慣の違いが影響しているのではないか」との見方を示す。例えば、低所得地域の住民は暖かい日には玄関前の階段や舗装された場所で過ごすことが多く、蚊やネズミが集まりやすい手入れされていない空き地で過ごすことは少ない。一方、高所得地域の住民は蚊の多い庭や公園などの緑地で過ごすことが多く、中間所得地域の住民も蚊が繁殖しやすい管理されていない庭など緑の多い場所で過ごすことを好む人が多いため、蚊に刺されやすい可能性が高いという。

LaDeau氏は「新たなウイルスがどのように拡散するかの予測に今回の知見が役立つ可能性がある」と説明。また、「低所得地域でネズミを駆除すれば蚊の発生を抑えることができるのか、あるいは単に蚊の標的がネズミから人間に移るだけなのかといった疑問も浮上した」としている。

この疑問について、米国感染症学会(IDSA)の会員で蚊媒介感染症の専門家であるDuane Gubler氏は「ヒトスジシマカなどのヤブカ属の蚊が多くを占めるボルチモアでは、ネズミを減らしても蚊が減少するとは考えにくい。ヤブカ属の蚊は、遭遇したどんな動物でも吸血の標的とするからだ」と話す。また、同氏は「蚊が発生しやすいかどうか、あるいは人間が蚊の標的となりやすいかどうかは、地域の環境やそこに住む住民の行動によって左右されることは以前から知られていた」として、「今回の研究結果に驚きはない」とコメント。その一方で、「今回の研究から得られた情報は、公衆衛生当局が蚊の対策を進める上で重要だ」と強調している。

なお、Gubler氏によると、蚊の発生を抑えるには家の周辺の水たまりをなくすことが有効だ。ただし、他人の家の庭にまで手を入れることはできないため、外出する時には長袖や長ズボンを着用し、虫除けを用いるなどの対策を講じる必要がある。また、近くに管理が不十分な空き地などがある場合は、地元の公衆衛生当局や地域団体に連絡することを同氏は勧めている。(HealthDay News 2018年4月10日)

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1-1 HDN4月19日「パッケージニュース」No.1

米国でカフェインのサプリが販売禁止に

米食品医薬品局(FDA)は4月13日、純カフェインまたは高濃度カフェインを含有するサプリメントの販売を禁止すると発表した。違法に販売されている製品についても「市場からなくすための準備はできている」としている。

規制の対象となるのは、消費者に直接バルク(個包装されていない状態)でまとめて大量に販売されている粉末状または液状の純カフェインまたは高濃度カフェインのサプリメント。カフェインが含まれる医療用の処方薬や市販薬、昔から飲まれているカフェイン入り飲料などの一般的な食品は規制の対象外となる。

FDAは2014年、カフェインのサプリメントの過剰摂取に関連したそれまで健康だった男性の死亡例が2例報告されたことを受け、2015年および2016年に純カフェインまたは高濃度カフェインのサプリメントの摂取によるリスクについて注意喚起を行っていた。

FDA長官のScott Gottlieb氏は、プレスリリースで「以前からさまざまな対策を講じてきたにもかかわらず、純カフェインや高濃度カフェインはサプリメントとして消費者に販売され続けてきた。しかし、これらの製品の中にはひと箱に数千回分に相当する大量のサプリメントが入った状態で販売されているものもある」と説明。その上で「こうした製品を摂取すれば活力が得られると信じてスポーツ用ドリンクに混ぜて飲むなど、危険を伴う方法で摂取している若者は少なくない。また、個包装になっていないため計量が難しく、過剰摂取や乱用のリスクもある」と指摘している。

FDAによれば、高濃度カフェインの液状サプリメント2分の1カップに含まれるカフェインは約2,000 mg、粉末状の純カフェインの場合はティースプーン1杯に含まれるカフェインは約3,200mgで、これは20~28杯分のコーヒーに含まれるカフェインに相当する。粉末状の純カフェインの場合、テーブルスプーン2杯足らずでほとんどの成人の致死量に達し、小児の場合にはより少ない量でも死亡する可能性があるという。

なお、安全なカフェインの摂取基準は200mg(液状の高濃度カフェインでティースプーン2.5杯分、粉末状の純カフェインで16分の1杯分)とされている場合が多い。(HealthDay News 2018年4月13日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/nutritional-supplements-health-news-504/fda-cracks-down-on-caffeine-loaded-supplements-732931.html

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1-1 HDN4月16日「パッケージニュース」No.2

薬が効かない「スーパー淋菌」に警鐘、米専門家ら

今年はじめ、ある英国人男性が一般的に使用されている抗菌薬が効かない「スーパー淋菌」に感染していたことが明らかになり、人々に衝撃を与えた。専門家らは、今後このような多剤耐性淋菌の感染は米国でも広がる可能性があるとして、警鐘を鳴らしている。

英国人男性の「スーパー淋菌」感染の報告は、感染症の専門家の間では想定内だったようだ。米アラバマ大学バーミングハム校のEdward Hook氏は「淋菌感染症の治療に抗菌薬が用いられるようになったころから淋菌は薬剤耐性を獲得し始めていたため、このような事態になることは予想されていた」と説明する。米ノースショア大学病院のBruce Farber氏もこれに同意し、「米国でも薬剤耐性淋菌はさまざまな地域で確認されている。英国で認められた株ほど極端なものではないが、今や米国でも薬剤耐性淋菌は珍しいものではない」と話す。

淋菌感染症は比較的高頻度にみられる性感染症の一つで、世界保健機関(WHO)によると世界の新規感染者数は年間7800万人と推定されている。米国では淋菌感染症は増加傾向にあり、その報告数は2015年から2016年にかけて19%増加したことが米疾病対策センター(CDC)の調査で明らかにされている。

増加の背景について、米ジョンズ・ホプキンズ大学医療安全センターのAmesh Adalja氏は「危険な性行動との関連が指摘されている」と説明。その上で「(英国で認められた)抗菌薬に強い耐性を示す淋菌が米国にも入ってくれば、淋菌感染症が大流行することも考えられる。医師が治療不可能な淋菌感染症の患者に遭遇するようになる可能性は否定できない」と危機感を示している。

前出のHook氏によると、淋菌感染症の患者が最も多いのは15~24歳の若者で、特に性的に活発な人や、複数の性的パートナーがいる人はリスクが高いという。通常は淋菌に感染しても死に至ることはまれだが、女性の不妊や流産のリスクを高めることが分かっている。

なお、「スーパー淋菌」に感染した英国人男性は、アジアで女性と性的関係を持った1カ月後に発症したとされている。発症後、男性は医療機関で第一選択薬の抗菌薬であるアジスロマイシンとセフトリアキソンによる治療を受けたが、効果が認められなかった。Washington Post紙によると、その後男性にはertapenem(日本では未承認)と呼ばれる別の種類の抗菌薬が静脈内投与され、奏功したとみられている。

現在、淋菌感染症の治療に使用できる2種類の新たな抗菌薬が開発中であるという。また、ニュージーランドの研究グループは昨年、MeNZBと呼ばれる髄膜炎ワクチンによって淋菌感染症の感染を約30%予防できたとする研究結果を「The Lancet」で報告している。

淋菌感染症の感染を予防するにはコンドームの使用も有効だ。さらに、淋菌に感染しても症状がみられない場合もあるため、Hook氏らは「一定期間に複数の相手と性行為を経験した人は、症状がなくても性感染症の検査を受けてほしい」と呼び掛けている。(HealthDay News 2018年4月4日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/antibiotics-news-30/super-drug-resistant-gonorrhea-coming-to-u-s-experts-say-732607.html

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1-1 HDN4月12日「パッケージニュース」No.1

「悪夢のスーパー耐性菌」アウトブレークの可能性も、CDC警告

米疾病対策センター(CDC)は4月3日、全米の保健局から提出された薬剤耐性菌のサンプルを分析した結果、それまで米国ではほとんど確認されていなかった型の耐性遺伝子を保有する「悪夢の細菌(nightmare bacteria)」が221サンプルも見つかったことを明らかにした。これらの耐性遺伝子がより危険な細菌に拡散すると、全ての抗菌薬に耐性を示す致死的な「スーパー耐性菌」の出現にもつながる可能性があるという。調査報告書は「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」4月6日号に掲載されている。

「悪夢の細菌」とは、抗菌薬の最後の切り札ともいわれるカルバペネム系抗菌薬が効かないカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)を指し、近年、世界各国で大きな問題となっている。その一部は細菌から細菌へと伝播する耐性遺伝子を保有しているが、これまで米国ではKlebsiella pneumoniae carbapenemase (KPC)型の耐性遺伝子が大半を占めていた。

しかし今回、CDCの薬剤耐性研究室ネットワーク(Antibiotic Resistance Lab Network)が2017年1~9月に調査を実施したところ、全米の医療機関や介護施設の患者などから分離されたCRE(4,442サンプル)とカルバペネム耐性緑膿菌(1,334サンプル)のうち221サンプルがKPC型以外の型の耐性遺伝子を保有していることが分かったという。

また、KPC型以外の型の耐性遺伝子を保有するCREが確認された施設で無症状の患者を対象に検査を実施した結果、10人に1人で同じ型のCREが見つかった。

こうした耐性遺伝子を保有する薬剤耐性菌は、症状の有無にかかわらずヒトからヒトへと感染するだけでなく、細菌から細菌へと耐性遺伝子が伝播して感染が拡大する恐れもあるという。

CDC長官代理のAnne Schuchat氏は、4月3日の記者説明会で「通常の細菌を悪夢の細菌に変える能力をもつ耐性遺伝子は、多くの州で認められている」と説明。また、「これまでの対策によって施設間での感染拡大や細菌から細菌への伝播を迅速に封じ込めることはできているが、それでも米国では薬剤耐性菌の感染者数は年間200万人に上り、それによって2万3,000人が死亡している」と話した。

さらに同氏は、薬剤耐性菌を火災に例え、「薬剤耐性菌は感染症を引き起こすだけでなく、他の細菌に耐性を与える可能性がある。火災と同様、すぐに見つけて阻止することで患者を守ることができる」と強調した。

CDCは、これまで「耐性菌の迅速な発見」「医療機関や介護施設での感染管理の評価」「耐性菌に感染している可能性がある無症状の患者のスクリーニング」「感染の拡大が阻止されたことが確認されるまでの感染管理の持続的な評価」などを推し進めてきた。実際にこれらの対策によってテネシー州やアイオワ州でまれな耐性遺伝子を保有する患者が同定された後、感染の拡大を防ぐことができたという。

CDCは、新たな封じ込め戦略によってCREの新規感染を3年間で州当たり1,600件予防し、76%低減することができると推定している。今回の報告書では、米国医療安全ネットワーク(NHSN)の2006~2015年のデータも示されたが、それによると医療関連感染に占める全体的なCRE感染の割合は年間15%のペースで低下しており、CDCは「薬剤耐性菌の特徴に合わせた戦略による成果だ」としている。(HealthDay News 2018年4月3日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/germs-973/nightmare-superbug-outbreak-could-happen-cdc-warns-732597.html

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