1HDN7月19日「パッケージニュース」No.1

早期の離乳食開始で乳児の睡眠が改善する可能性

乳児がどうやったらよく眠れるようになるのかは親の悩みの一つだが、英国の新たな研究で、早期に離乳食を開始すると乳児の睡眠が改善する可能性のあることが示された。生後3カ月を過ぎた頃から母乳に加えて離乳食を与えられた乳児は、母乳だけを与えられた乳児に比べて睡眠時間が長く、夜中に目覚める頻度も低かったという。研究の詳細は「JAMA Pediatrics」7月9日オンライン版に掲載された。

米国小児科学会(AAP)のガイドラインは、乳児の栄養に関して、生後6カ月までは母乳のみを与え、離乳食は生後6カ月を過ぎてから開始することを推奨している。また、生後4カ月未満で離乳食を開始すると子どもの過体重につながるとする見解を示している。乳児の睡眠は食べ物の影響を受けないとするのが専門家の一致した見方だが、英国のある調査では、75%の母親は子どもが生後5カ月になる前から離乳食を開始しており、4人に1人はこうした決断には子どもの夜泣きが影響したと回答していたという。

そこで今回、英ロンドン大学キングス・カレッジの研究グループは、生後3カ月まで母乳のみで育った英国の1,200人以上の乳児を対象に行われたランダム化比較試験の二次解析を行い、早期の離乳食開始が睡眠に与える影響について調べた。

この試験は2008~2015年に実施されたもので、生後3カ月まで母乳のみで育ったイングランドおよびウェールズの乳児1,303人を対象に、母乳を継続しながら6種類のアレルゲン食品を含む離乳食を開始する群または母乳のみをさらに3カ月与える群にランダムに割り付けて追跡した。両親には子どもが3歳になるまで乳児の食事や睡眠に関するオンライン調査を行った。

追跡調査を行った1,225人を解析した結果、母乳を継続した群に比べて、早期に離乳食を開始した群では睡眠時間が長く、夜中に目覚める頻度が低かったほか、母親のQOL(生活の質)に影響するような深刻な睡眠の問題も有意に少ないことが分かった。こうした両群間の差は生後6カ月でピークを迎え、この時点で早期に離乳食を開始した群では睡眠時間が一晩で16.6分(週当たり約2時間)長く、夜間に目覚める回数は一晩で2.01回から1.74回に減少した。

こうした結果を踏まえて、論文の最終著者である同大学小児アレルギー科教授のGideon Lack氏は「乳児の栄養に関する現行のガイドラインを見直す必要があるだろう」と指摘している。

しかし、早期の離乳食開始の是非については、専門家の間でも意見は分かれるようだ。米ノースウェル・ヘルス・ハンチントン病院のMichael Grosso氏はこの結果について、「乳児の夜泣きは食べ物とは無関係とする説を覆すものだ」と話している。一方、米レノックス・ヒル病院のMeghan Reed氏は、今回の研究には粉ミルクを与えた乳児は対象に含まれていない点などに触れつつ、早期の離乳食開始による有益性が、将来的に子どもに及ぼす悪影響の可能性を上回るかどうかには疑問が残るとの見解を示している。(HealthDay News 2018年7月9日)

https://consumer.healthday.com/caregiving-information-6/infant-and-child-care-health-news-410/want-good-sleep-for-baby-food-may-be-key-735555.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




1HDN7月12日「パッケージニュース」No.1

コーヒーによる寿命の延長効果は1日何杯まで?

コーヒーにはさまざまな健康効果が報告されているが、1日に何杯飲むべきなのかという問いに、いまだ答えは得られていない。今回、新たな研究で、コーヒーの摂取量が多い人は早期死亡リスクが低下し、この効果は1日8杯以上のコーヒーを飲む人でも認められることが分かった。また、こうしたコーヒー摂取による寿命の延長効果は、カフェインの有無にかかわらず認められたという。詳細は「JAMA Internal Medicine」7月2日オンライン版に掲載された。

この研究は、米国立がん研究所(NCI)のErikka Loftfield氏らが行ったもの。同氏らは、英国の地域住民を対象とした大規模なコホート研究である英国バイオバンクに参加した成人49万8,134人(平均年齢57歳、女性54%)を対象に、2006年から2016年まで追跡してコーヒーの摂取量と死亡率との関連を調べた。なお、対象者の78%にはコーヒーを飲む習慣があった。

10年以上の追跡期間中に1万4,225人が死亡した。解析の結果、コーヒーの摂取量が多いと全死亡リスクは低下することが分かった。コーヒーを全く飲まない人に比べて、1日8杯以上飲む人は、追跡期間中に死亡するリスクが14%低く、1日6~7杯飲む人はリスクが16%低かった。一方で、1日1杯以下の人では全死亡リスクの低下は6~8%にとどまっていた。

また、コーヒーの摂取による寿命の延長効果は、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーだけでなく、カフェインレスコーヒーでも同様に認められた。さらに、カフェインの代謝に関係する遺伝子多型の違い(カフェインの分解が遅いため多くは飲めない人、あるいは代謝が速く多く飲める人)で効果に差はみられなかった。

このことから、Loftfield氏は「コーヒーにはカリウムや葉酸をはじめ、身体に影響を及ぼす化学物質が1,000種類以上含まれている。今回示されたコーヒー摂取による早期死亡の抑制効果は、カフェイン以外の成分によるものである可能性が高い」と説明している。また、この結果はコーヒー好きには朗報だが、コーヒーを飲まない人が寿命が延びることを期待して、わざわざ飲み始める必要はないと付け加えている。

米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの栄養士であるSamantha Heller氏は「多くの植物性食品と同様に、コーヒー豆にはポリフェノールが豊富に含まれている。ポリフェノールには抗酸化作用や抗炎症作用、抗がん作用があるほか、血圧や血糖値を下げることが知られている」と指摘している。また、同氏によれば、野菜や果物、豆類などが豊富な食事を取る人は、がんや肥満、糖尿病、認知症、心疾患、うつ病などの慢性疾患になるリスクが低いことが分かっているという。

Heller氏は、コーヒーの摂取は健康に良い習慣の一つになり得るとしながらも、「コーヒーを飲めば、不健康な食習慣や喫煙などによる健康への悪影響を打ち消せるものではない。人によっては、コーヒー中のカフェインは身体に良くないこともある」と話している。(HealthDay News 2018年7月2日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/caffeine-health-news-89/can-coffee-extend-your-life-735404.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




1HDN7月5日「パッケージニュース」No.2

血中ビタミンD濃度低いと間質性肺疾患リスク増

ビタミンDは骨の健康維持に欠かせない栄養素の一つだが、血中25(OH)D濃度が低いと間質性肺疾患(ILD)を発症するリスクが高まる可能性のあることが、新たな研究で示された。研究の詳細は「Journal of Nutrition」6月19日オンライン版に掲載された。

ILDとは肺に炎症や肺組織の線維化をもたらす疾患で、米国では年間に約20万人がILDと診断されている。ILDの原因はさまざまで、アスベスト(石綿)などの大気汚染物質やウイルス、細菌などの感染によるもの、自己免疫疾患であるもの、薬剤の副作用として引き起こされるものなどがある。

米ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、今回、米国の大規模なコホート研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)研究に参加し、ベースライン時に心血管疾患の既往がなく、血中25(OH)D濃度を測定し、CT検査を実施した6,302人を対象に10年間以上追跡。ベースライン時の血中25(OH)D濃度とILDの発症およびその後のILDの進行との関連を調べた。解析対象者の平均年齢は62.2歳で、女性が53%であった。

対象者を血中25(OH)D濃度で3群(不足:20ng/mL未満、20ng/mL以上30ng/mL未満、充足:30ng/mL以上)で分けて解析した結果、ベースライン時に血中25(OH)D濃度が充足していた群に比べて、不足していた群ではベースライン時にILDの初期の徴候を示すリスクが高く、また、中央値で4.3年間の追跡期間中にILDが進行するリスクも高いことが分かった。さらに、ベースライン時における血中25(OH)D濃度の不足は、10年後のILD有病率の上昇とも関連していた。

これらの結果から、研究グループは「血中ビタミンD濃度が不足することはILDの発症や進行のリスク因子の一つである可能性が示唆された」と結論づけている。

論文著者の一人で同大学心血管疾患予防センター副部長のErin Michos氏によると、これまでの研究で、活性型ビタミンDには抗炎症作用があり、免疫系の制御に働くことが分かっている。また、ビタミンDは喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の発症や進行にも重要な役割を担うことが報告されているが、同氏は「今回の研究から、ビタミンDの血中濃度は肺組織の線維化が進むILDとも関連することが示された」と指摘している。

今回の結果は、これらの因果関係を証明するものではないが、Michos氏らは「肺の健康を保つには、十分な血中ビタミンD濃度を維持することが重要な可能性が示された。今後は、ILDのリスク因子として、大気汚染物質や喫煙に加えてビタミンD不足を加えるべきなのか、また、サプリメントの摂取や日光浴などのビタミンD補充対策がIDLの予防や進行抑制に有効かどうかを検討する必要がある」と話している。なお、同氏らによれば、現時点でILDの根治療法は見つかっておらず、多くの患者は診断から5年以内に死亡するという。(HealthDay News 2018年6月25日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/vitamin-and-mineral-news-698/vitamin-d-deficiency-could-be-lung-disease-risk-735000.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




4HDN国内ニュース7月2日配信2

アブラナ科野菜を摂取するほど全死亡リスク減 約9万人の日本人男女を解析、JPHC研究

40歳代半ば以降の日本人の男女は、キャベツやブロッコリー、白菜などのアブラナ科の野菜を多く摂取するほど全死亡リスクが低減する可能性があると、国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループが発表した。研究の詳細は「Clinical Nutrition」4月23日オンライン版に掲載された。

アブラナ科の野菜には、抗炎症作用や発がん抑制作用で知られる「イソチオシアネート」と呼ばれる成分が豊富に含まれている。しかし、アブラナ科の野菜の摂取量と死亡との関連を包括的に検討した大規模な観察研究は実施されていなかった。研究グループは今回、JPHC研究に参加した45~74歳の男女約9万人を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、アブラナ科の野菜の摂取量と全死亡、がんや心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患および外因による死亡リスクとの関連を調べた。

今回の研究では、ベースライン時(1990年および1993年)に全国11地域に在住し、がんや心筋梗塞、脳卒中の既往がなく、研究開始から5年後の食物摂取頻度質問票に回答した45~74歳の8万8,184人(うち男性4万622人)を対象に、2014年まで追跡を行った。質問票では漬け物を含む11項目のアブラナ科の野菜(キャベツ、大根、小松菜、ブロッコリー、白菜、チンゲンサイ、からし菜、フダンソウ、たくあん漬け、野沢菜漬け、白菜漬け)からアブラナ科の野菜の総摂取量を推定した。

中央値で16.9年の追跡期間中に1万5,349人が死亡した。男女別にアブラナ科の野菜の総摂取量で5つの群に分けて解析した結果、全死亡リスクは、摂取量が最も少ない群と比べて最も多い群で男性では14%、女性では11%それぞれ有意に低下することが分かった(傾向P値はそれぞれ0.0002、0.03)。

また、疾患別の死亡リスクを比較した結果、男性ではアブラナ科の野菜の摂取量が最も少ない群と比べて最も多い群でがんによる死亡リスクが16%有意に低下した(P=0.001)。一方、女性では摂取量が最も多い群で心疾患リスクが27%(P=0.01)、外因による死亡リスクが40%(P=0.005)有意に低下し、脳血管疾患リスクも22%(P=0.05)低下した。

さらに、野菜の種類別の摂取量と全死亡リスクとの関連について解析したところ、男性ではブロッコリー、たくあん漬けの摂取量が最も多い群で、女性では大根、ブロッコリーの摂取量が最も多い群で死亡リスクが低減した。

以上の結果について、研究グループは「アブラナ科の野菜に多く含まれるイソチオシアネートや抗酸化性のビタミンによる抗炎症作用と抗酸化作用が死亡リスクの低下に寄与している可能性がある」と指摘。今後の研究ではイソチオシアネートの種類を詳細に解析したり、尿中イソチオシアネートなどの生体指標を用いた検討を行う必要があるとしている。(HealthDay News 2018年7月2日)

Abstract/Full Text
https://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(18)30163-8/fulltext

Press Release
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8153.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




1HDN6月28日「パッケージニュース」No.1

ビタミンDが十分だと大腸がんリスク低下

骨の健康維持に欠かせない栄養素であるビタミンDは、食事から摂取できるだけでなく、紫外線を浴びると体内で生成される。新たな研究で、ビタミンDの血中濃度が高いほど大腸がんになるリスクは低減する可能性のあることが示された。研究によると、これらの関連は特に女性で強かったという。詳細は「Journal of the National Cancer Institute」6月14日オンライン版に掲載された。

米国では、大腸がんはがんによる死亡原因の第3位を占めており、2018年には14万250人が新たに大腸がんと診断され、5万630人が大腸がんにより死亡すると推計されている。また、生涯で大腸がんに罹患する確率は女性では24人に1人、男性では22人に1人といわれている。

米国がん協会(ACS)疫学研究部門長のMarjorie McCullough氏らは今回、17件のコホート研究に参加した計5,706人のがん患者と計7,107人の健康な対照群のデータを用いて、血中25(OH)D濃度と大腸がん罹患との関連を調べた。対象者の約3分の1では、血液サンプルを再分析して新たに血中25(OH)D濃度を測定した。

解析の結果、血中25(OH)D濃度が正常範囲だが低い(50~62.5nmol/L)場合に比べて、ビタミンDが不足または欠乏(血中25(OH)D濃度が30nmol/L未満)していると大腸がんになるリスクが31%高いことが分かった。一方で、血中25(OH)D濃度が十分であると(75~87.5nmol/Lおよび87.5~100nmol/L)、大腸がんになるリスクはそれぞれ19%、27%低下した。

また、血中25(OH)D濃度が25nmol/L上昇するごとに、大腸がんになるリスクは女性では19%、男性では7%低下することも明らかになった。ただし、血中25(OH)D濃度が100nmol/L以上になると、この効果は頭打ちになったという。

しかし、大腸がんを予防するために、わざわざ日焼けをする必要はないようだ。McCullough氏によれば、大腸がんリスクが上昇するほどビタミンDが欠乏している米国人はわずかに過ぎないという。ほとんどの人は普段の生活でビタミンDを十分に取れており、過剰摂取は逆に身体に悪影響を及ぼすためサプリメントの摂取は勧められないとしている。また、紫外線は皮膚がんの強いリスク因子になるため、「ビタミンDの血中濃度を上げるために日焼けすることは勧められない」と同氏は強調している。

ビタミンDは骨の健康に重要なことが知られているが、がんやそれ以外の疾患に対する有効性は十分に検討されていない。2011年の米国医学研究所(IOM、現・米国医学アカデミー;NAM)による食事摂取基準に関する報告書でも、ビタミンDによるがん予防効果については十分なエビデンスはないことが記されている。

なお、ビタミンDががん予防に働く機序は明らかにされていないが、基礎研究で、ビタミンDには細胞の増殖を抑えたり、細胞死を促進する作用があることが示されている。McCullough氏は「ビタミンDはこうした作用により異常ながん細胞の増殖を抑えるように働くのではないか」と話している。(HealthDay News 2018年6月15日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colon-cancer-news-96/vitamin-d-may-guard-against-colon-cancer-734911.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




1HDN6月28日「パッケージニュース」No.4

週に1~3杯の少量飲酒に余命延長効果?

飲酒量はどの程度であれば健康に有益なのか―。この問題を検証した最新研究の結果が「PLOS Medicine」6月19日オンライン版に発表された。この研究では、週に1~3杯程度の少量飲酒者は、全く飲酒しない人と比べて長生きする傾向はあるが、ある種のがんに罹患するリスクは飲酒量がわずかでも上昇する可能性があることが示されたという。

クイーンズ大学(英領北アイルランド)のAndrew Kunzmann氏らは今回、米国前立腺がん・肺がん・大腸がん・卵巣がん(PLCO)スクリーニング試験のデータを用いて住民ベースの大規模コホート研究を実施し、生涯の平均飲酒量とがん罹患および死亡のリスクとの関連について検討した。

対象は、同試験に参加した55~74歳の男女9万9,654人(女性68.7%)。83万6,740人年の追跡期間中(中央値8.9年)に約10%(9,599人)が死亡し、約13%(1万2,763人)ががんに罹患した。

解析の結果、全く飲酒しない人の全死亡リスクは、飲酒量が週に1~3杯(1杯はビールで約350mL、ワインで約150mLに相当)の少量飲酒者に比べて約25%高いことが分かった。また、飲酒量が1日に2~3杯未満の大量飲酒者では、少量飲酒者と比べて全死亡リスクは男性で19%、女性で38%高く、飲酒量と全死亡リスクとの間にはJ字型曲線(Jカーブ)の関係が認められた。一方で、がんリスクについては、特に咽頭がんや口腔がん、食道がん、肝がんといったアルコールに関連するがんになるリスクは飲酒量が増えるほど上昇した。

さらに、がん罹患と死亡の複合リスクは少量飲酒者と比べて全く飲酒しない人で9%高く、ほとんど飲酒しない人(週に1杯未満)では8%、大量飲酒者では10%、1日に3杯以上とより大量に飲酒する人では21%それぞれ高く、これらの複合リスクは少量飲酒者で最も低かった。

この結果について、Kunzmann氏は「少量の飲酒が健康に有益であることを証明するものではない」と強調し、少量飲酒者は高収入で、健康的な食生活を送り、運動量が多い傾向がみられ、これらの要因が余命の延長をもたらした可能性を指摘している。

では、適度な飲酒で心疾患リスクが低減したとするこれまでの研究結果をどう解釈すべきなのか? 専門家の一人でビクトリア大学(カナダ)のTimothy Stockwell氏は「多くの研究はある時点の飲酒状況に基づき解析されており、以前は飲酒していたが健康上の理由などで禁酒した人も“全く飲酒しない人”に含まれていた可能性がある」と指摘する。なお、同氏がこのような点を考慮して実施した研究では、中等量の飲酒による健康へのベネフィットは消失したという。Kunzmann氏もこの考えに同意しているが、今回の研究では対象者に尋ねた生涯の飲酒量に基づいて解析したと話している。

少量飲酒の有益性を示した今回の結果について、Kunzmann氏は慎重な解釈を求めており、飲酒習慣のある人は飲酒量を最小限にとどめることや、健康面でのベネフィットを期待して赤ワインを毎晩2杯以上飲むのは止めた方がよいと助言している。Stockwell氏も「少量飲酒の有益性を裏付ける科学的根拠に基づいたコンセンサスはない」と強調し、健康に良いかもしれないという理由で飲酒量を増やしてはならないと話している。(HealthDay News 2018年6月19日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/misc-alcohol-news-13/how-much-drinking-is-healthy-or-not-734996.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




1HDN6月25日「パッケージニュース」No.1

質の高い食事でがんサバイバーの生存率向上

がんサバイバー(経験者)は、野菜や果物、全粒粉や玄米など精製されていない全粒穀物、たんぱく質、低脂肪の乳製品が多く、栄養バランスに富む食事を取ると死亡リスクが低下する可能性のあることが、米フロリダ大学公衆衛生大学院のAshish Deshmukh氏らが行った新たな研究で示された。約1,200人のがんサバイバーを対象に食事の質と死亡リスクとの関係を調べた結果、食事の質が高い人では低い人と比べて、がんによる死亡リスクが65%低減することが分かったという。研究の詳細は「JNCI Cancer Spectrum」6月5日オンライン版に掲載された。

この研究は、1988~1994年の米国民健康栄養調査(NHANES)IIIに参加した約3万4,000人のうち、がんと診断されていた1,191人を対象としたもの。Deshmukh氏らは、対象としたがんサバイバーの食事内容の聞き取り調査や食物摂取頻度調査票のデータを用いて、米国農務省による食生活指針をどの程度守っているかをHealthy Eating Index(健康食指数;HEI)で評価した。なお、この指針では果物や野菜、未精製の全粒穀物、たんぱく質、乳製品、飽和脂肪、コレステロール、ナトリウム(塩分)の推奨摂取量を明示している。

中央値で17.2年の追跡期間中に607人ががんで死亡していた。解析の結果、HEIスコアが高い群では低い群と比べて、全死亡リスクが41%、がんによる死亡リスクが65%低いことが分かった。さらに、がんの種類別にHEIスコアと死亡リスクの関連をみたところ、皮膚がんや乳がんなど一部のがん種で質の高い食事と死亡リスクの低減に強い関連がみられたという。

Deshmukh氏は「がん患者の予後には、特定の栄養成分ではなく食事全体の質が影響するという結果は予想外だった」と話している。ただし、この研究は因果関係を証明したものではなく、食事の質を高めると延命効果がどの程度得られるのかは明らかではない上に、運動などの健康に良い他の習慣が影響した可能性も考慮されていないと強調している。

専門家の一人で米国がん協会(ACS)のMarjorie Lynn McCullough氏は、喫煙の影響が調整されておらず、改定前の食生活指針が用いられているなど、Deshmukh氏らの研究にはいくつかの限界点があるものの、「最近集積されつつある、がんサバイバーに健康的な食事を推奨すべきとするエビデンスと概ね一致するものだ」とコメントしている。ただし、がんの治療中や回復期には必要とされる栄養素が変わることがあるため、がんサバイバーは自分に必要な栄養素や運動について、医療従事者に事前に相談する必要があると付け加えている。(HealthDay News 2018年6月12日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/balanced-diet-may-be-key-to-cancer-survival-734725.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




1HDN6月25日「パッケージニュース」No.3

ヒトの脳は「脂質+糖質」を好むようにできている

ヒトの脳は、本能的に脂質と糖質の組み合わせを好むようにできている可能性のあることが、米イェール大学精神科のDana Small氏らによる研究で示唆された。この研究では、脂質と糖質のいずれかを多く含む食品よりも、ファストフードや加工食品などの両方を含んだ食品の方が、脳内の報酬系のシグナル伝達を増強することが明らかになったという。詳細は「Cell Metabolism」6月14日オンライン版に掲載された。

これまでの研究で、食欲を司る脳領域に空腹感や満腹感を伝えるシグナルは、主に腸管から伝達されることが分かっていた。一方、最近の研究では、脂質を摂取したときと糖質を摂取したときでは、異なるシグナル伝達経路が使われることも示されている。こうした結果を踏まえ、Small氏らは、脂質と糖質の両方を含む食品を摂取すると、カロリーは同じだが一方だけを含む食品を摂取するよりも、相乗作用によってシグナル伝達系への影響が強まる可能性があると考え、今回の研究を実施した。

研究では、健康なボランティアを対象に(1)キャンディーなどの糖質を多く含む食品、(2)ミートボールやチーズなどの脂質を多く含む食品、(3)クッキーやケーキなどの糖質と脂質の両方を多く含む食品のいずれかの写真を見てもらい、MRIによる脳画像検査を実施した。なお、対象者には、オークションで競り落とせば自分が好きなものを食べることができると説明した。

その結果、脂質+糖質を多く含む食品に対して最も高額な値が付けられた。また、脳画像検査の結果、脂質+糖質を多く含む食品の写真を見せられた際に、自分の好きな食べ物や、より甘い食品やより高カロリーな食品、量が多い食品の写真を見せられたときよりも、報酬系を司る脳領域の神経回路が活性化していた。

この結果について、Small氏は「脳内の報酬系は単純にカロリー量の増加に応じて活性化するわけではないことが分かり、驚いた」と話す。また、今回の研究では、脂質が多い食品のカロリーを推測できる人は多いが、糖質が多い食品のカロリーを推測できる人は少ないことも明らかになった。このことから、同氏は「多くの人は、脂質と糖質の両方を含む食品から正確にカロリーを推測することは難しいと思われる」と述べている。

Small氏は、脂質と糖質を多く含む食品は、ヒトの食欲を司るシグナルを“ハイジャックする”と表現する。「現代人が食べるほとんどの食品は脂質と糖質の両方を多く含んでいるが、こうした食品は母乳を除けば自然界には存在しない」と説明し、「現代的なこれらの食品が脳内の報酬系のシグナル伝達をより増強するのであれば、肥満や糖尿病が蔓延していることの説明がつく可能性がある」との見方を示している。

専門家の一人で米レノックス・ヒル病院肥満外科部長のMitchell Roslin氏は、この研究結果について「食べ過ぎに気づかずに、スナック菓子を一袋食べてしまう理由となるものだ」とした上で、「消費者には、自分の空腹感や満腹感に従うのではなく、適切な食品を選ぶように啓発する必要がある」と話している。米ロサンゼルスの管理栄養士であるMascha Davis氏は、ドライフルーツやナッツなどを含む健康に良いおやつを常備しておけば、脂質と糖質を同時に摂取でき、満腹感も得られるとアドバイスしている。(HealthDay News 2018年6月14日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/dietary-fat-health-news-301/human-brain-hard-wired-to-love-fat-carb-combo-study-734887.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




4HDN国内ニュース6月25日配信2

日本の学校給食が思春期男子の肥満抑制に効果 東大グループ

日本の学校給食プログラムは、思春期男子の過体重や肥満を低減させる可能性があると、東京大学大学院公衆衛生学教授の小林廉毅氏と宮脇敦士氏らの研究グループが「Journal of Public Health」6月5日オンライン版に発表した。一方で、女子では過体重などの有意な低減効果はみられなかったという。

小児や思春期の若者における肥満増加は世界的な問題とされているが、世界各国に比べて日本の肥満率は低いとされている。その要因の一つに「学校給食プログラム」の影響が指摘されているが、明確なエビデンスは得られていなかった。研究グループは今回、過去10年間で中学校の給食の実施率が上昇した点に着目。政府統計の公開データを用いて、学校給食が思春期男女の肥満に及ぼす影響を調べた。

研究グループは、文部科学省による学校給食実施状況等調査・学校保健統計調査の公表データを用いて、2006~2015年の都道府県ごとの給食実施率と栄養状態の指標(過体重と肥満、やせの生徒の割合)、平均身長、平均体重のデータを性および年齢別(中学2年~高校1年の13~15歳)に抽出。パネルデータ分析の手法を用いて、都道府県レベルにおける給食実施率の前年からの変化が栄養状態の指標などに及ぼす影響について調べた。なお、調査によると、学校給食の実施率が90%以上の都道府県の割合は、2006年の約半数から2010年には5分の3、2015年には3分の2を占めるまでに増加したという。

解析の結果、都道府県レベルの学校給食の実施率が10%増えると、男子では翌年の過体重の割合は0.37%、肥満の割合は0.23%低下することが分かった。2015年の学校保健統計調査の報告(中学生男子の約10%が過体重、約5%が肥満)を踏まえると、学校給食の実施率の10%増加は1年間で過体重の男子の3.7%、肥満の男子の4.6%が減少することを意味するという。

一方で、女子では、学校給食の実施率の向上により過体重や肥満の減少傾向はみられたが、統計学的に有意な結果ではなかった。また、学校給食の実施率によるやせの割合や平均体重、平均身長への影響は男女ともにみられなかった。

これらの結果を踏まえ、研究グループは「日本の思春期の生徒を対象とした大規模データを用いて、学校給食プログラムによる過体重や肥満の低減効果を実証した研究は今回が初めて。学校給食を介して適切な栄養基準に基づいた食事を提供することは、思春期の肥満を減らす有効な施策の一つになると思われる」と話している。(HealthDay News 2018年6月25日)

Abstract/Full Text
https://academic.oup.com/jpubhealth/advance-article/doi/10.1093/pubmed/fdy095/5033367

Press Release
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20180605.pdf

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.




1HDN6月21日「パッケージニュース」No. 1

魚油サプリは乳児の心臓にも良い可能性

魚などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、成人の心臓病リスクの低減に効果的とされているが、乳児の心臓にも良い影響を与える可能性のあることが、オーストラリアの新しい研究で示された。魚油サプリメントを生後6カ月までに摂取すると、5歳時点の腹囲(ウエスト周囲長)などの心臓病のリスク因子が改善したという。詳細は「Pediatrics」6月8日オンライン版に掲載された。

ロイヤル・パース病院(オーストラリア)のValene See氏らは、西オーストラリア州の州都パースで登録した妊婦から出生した新生児420人を対象に、オメガ3系脂肪酸のサプリメント(650mg)を摂取する群またはオリーブ油を含んだプラセボを摂取する群にランダムに割り付けて、生後6カ月まで毎日摂取させた。なお、母親はいずれもアレルギーの既往があり、魚の摂取量が少なかったという。

その後、子どもが5歳になった時点で、オメガ3系脂肪酸を摂取した群のうち165人、プラセボを摂取した群のうち157人で血液検査を実施し、腹囲を測定した。解析の結果、オメガ3系脂肪酸を摂取した群では、プラセボ群と比べて腹囲が約1cm小さいことが分かった。また、オメガ3系脂肪酸摂取群の男児ではインスリンの血中濃度が21%低く、インスリン抵抗性が22%低いことも明らかになった。

米国心臓協会(AHA)によると、腹囲の大きさは心臓病のリスク因子とされている。また、インスリンの血中濃度の上昇や、十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず血糖値が下がらない状態を指すインスリン抵抗性は、2型糖尿病の発症に深く関与するとされている。

米ニューヨーク大学(NYU)ウィンスロップ病院で小児糖尿病プログラムの責任者を務めるSiham Accacha氏は今回の研究をレビューし、「オメガ3系脂肪酸の摂取は腹囲を減らすのに有用であるようだが、その効果が長期にわたって続くかどうかは現時点では分からない」と話している。また、男児だけでインスリン抵抗性の改善がみられた理由も不明だと、同氏は付け加えている。

登録栄養士の資格を持つ同大学ランゴン医療センターのSamantha Heller氏は、同じく専門家の立場から「オメガ3系脂肪酸は胎児の脳や眼の発達にも重要で、魚などの健康的な食品を好む味覚の形成にも役立つとされる。そのため、乳児期や幼児期からオメガ3系脂肪酸を摂取するのは良い選択かもしれない」とコメントしている。

一方で、同氏は、今回対象とした母親は妊娠中の魚の摂取量が少なかったことが結果に影響した可能性もあることを指摘している。また、Accacha氏は、子どもが10歳以降になってもオメガ3系脂肪酸の効果が続くかどうかが分かれば興味深いと話している。(HealthDay News 2018年6月8日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/misc-kid-s-health-news-435/fish-oil-may-protect-the-youngest-hearts-734674.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.