1HDN10月15日「パッケージニュース」No.4

乳がん経験者のケモブレインにアルツハイマー病遺伝子が関与か

乳がん経験者でしばしばみられる化学療法が原因で生じる認知機能障害、いわゆる「ケモブレイン」は、アルツハイマー病に関連するAPOE4遺伝子を保有する女性のみで現れる可能性があることが、米ジョージタウン・ロンバルディ総合がんセンター腫瘍学教授のJeanne Mandelblatt氏らによる研究で示唆された。詳細は「Journal of Clinical Oncology」10月3日オンライン版に発表された。

Mandelblatt氏らは今回、認知症のない60~98歳の乳がん患者344人と年齢を一致させた健康な女性347人(対照群)を対象に、乳がんとその治療が認知機能の低下に及ぼす影響を調べた。対象者には研究開始時(治療開始前)に13種類の認知機能の検査を実施し、その1年後および2年後にも再検査を行った。

その結果、ホルモン療法を受けた女性では、APOE4遺伝子保有の有無にかかわらず、長期にわたる認知機能の低下はみられないことが分かった。一方、APOE4遺伝子を保有する女性が化学療法を受けた場合には、思考力と記憶力の低下が認められることが明らかになった。

Mandelblatt氏は「化学療法を受けた後に認知機能障害がみられる女性はごく一部であったが、そうした女性たちが他の女性たちと異なっていたのはAPOE4遺伝子を保有しているという点だった」と説明する。ただ、今回の研究では乳がん生存者のほとんどで化学療法やホルモン療法を受けた後に、治療を原因とする長期的な認知機能の低下はみられなかった。このことは、多くの乳がん生存者にとって良いニュースだと同氏は話している。

また、Mandelblatt氏は「APOE4遺伝子はアルツハイマー病の極めて強い遺伝的なリスク因子だ。おそらく化学療法とこの遺伝子が制御する何かとの間に相互作用が働いているのだろう」と考察している。ただし、この研究はAPOE4遺伝子がケモブレインの原因であることを証明したものではないため、「この結果が今後の研究で追認されるまでは慎重に解釈すべきだ。また、そのメカニズムや経路について解明を進める基礎研究も必要だ」と同氏は述べている。

なお、Mandelblatt氏によると、APOE4陽性者の割合はわずか20~25%で、高齢の乳がん患者のうち化学療法を受ける女性の割合は30%未満だという。さらに、今回の研究で観察された認知機能の低下度はわずかなもので、アルツハイマー病患者でみられるレベルではなかったとして、同氏は「化学療法を受ける乳がん女性は、重度の記憶障害が起こるのではないかと心配しないでほしい」と強調している。その上で、治療選択ではがんを克服することを目的とした治療を優先すべきだと付け加えている。

専門家の一人で米国がん協会(ACS)のLen Lichtenfeld氏もこれに同意し、「現在は化学療法を必要最小限に抑える治療が主流となっているが、がんが再発すればAPOE4遺伝子を保有していても化学療法は避けられない可能性がある」と指摘する。一方、APOE4遺伝子の保有状況を考慮してガイドラインを改定したり、遺伝子検査をルーチンで実施する前にはさらなる研究が必要だとの見方を示している。(HealthDay News 2018年10月3日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/alzheimer-s-gene-tied-to-chemo-brain-in-breast-cancer-survivors-738322.html

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1HDN10月11日「パッケージニュース」No.2

単純なルール改正でアメフトの脳震盪リスクが低減

単純なルールの改正によって、アメリカンフットボール選手のプレー中の安全性が高まる可能性があることが、米アイビーリーグが実施した研究で示された。

キックオフ地点を35ヤードラインから40ヤードラインへと5ヤード(約4.6m)前方に移動させるだけで、脳震盪の年間発生率が平均68%以上も低減したという。詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月1日オンライン版に掲載された。

論文著者の一人で米ペンシルベニア大学ペン傷害科学センターのDouglas Wiebe氏は、このルール改正により、相手側がキックオフしたボールをキャッチして前進するキックオフリターンの際に選手が衝突する確率が低くなるとしている。キックオフは脳震盪の原因の多くを占め、2015年には、アイビーリーグの試合中の全プレーのうちキックオフの比率は6%に過ぎなかったが、脳震盪の21%はキックオフ時に発生していた。また、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の統計によると、キックオフ時には脳震盪が起こる確率は5倍になると米スポーツ専門チャンネルのESPNは報じている。

こうした状況を踏まえ、アイビーリーグは2016年にキックオフラインの変更を決定した。これは蹴られたボールがゴールラインを越えやすくなり、リターンが減ってタッチバックが増えるようになるのを狙ったものだと、共著者で同センターのBernadette D’Alonzo氏は説明する。これにより、キックオフでタッチバックとなる確率は、2013~2015年のシーズンにおける年間平均17.9%から2016~2017年のシーズンには48%まで増加し、その分、選手同士が衝突する回数が減ったことが明らかになった。また、キックオフ時の脳震盪の発生率は1,000回のプレー当たり10.93回から2.04回まで減少した。

さらに、脳震盪の減少がルール改正による結果であることを確認するため、Wiebe氏らは同じシーズン中の他の全てのフットボールの試合を対照としてキックオフの回数を比較した。その結果、キックオフ以外のプレーでも、ルール改正に伴い、脳震盪の発生率は1,000回当たり2.56回から1.18回に減少したことが分かった。「全体として、このルール改正によりキックオフリターンに起因する脳震盪の発生回数は1,000回当たり7.51回減少した」と同氏は述べている。

NFLは、2011年には既にキックオフ地点を30ヤードラインから35ヤードラインに変更していたが、ある分析では、その後に怪我は減ったものの、頭部外傷は減少しなかったと結論づけられていた。ただし、この研究ではキックオフとキックオフ以外のプレーを比較していなかった。なお、ESPN によれば、NFLは今後、場合によってはキックオフ自体を廃止することも検討中だという。

専門家の一人で米マウントサイナイ脳損傷研究センターのKristen Dams-O’Connor氏は、今回の研究について、「多くの人に愛されるアメフトをどこまで安全なスポーツにできるかを示した優れた実例だ」と賞賛している。米メイヨー・クリニックのMichael Stuart氏もこの考えに同意し、「このルール変更は大きな意味があるものだ」と評価する。一方で、同氏は、脳震盪はキックオフリターンする選手だけでなく、他の選手でもそのリスクは高いことを考慮しながら今後の議論を進める必要がある」と付け加えている。(HealthDay News 2018年10月2日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/concussions-news-733/one-football-rule-change-might-lower-concussion-risk-738264.html

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2HDN糖尿病ニュース10月11日配信2

糖尿病と認知症の併存で低血糖関連の死亡リスク増

糖尿病と認知症が併存すると、糖尿病だけの場合に比べて重症低血糖に関連する死亡リスクが大幅に高い可能性があることが、英ノルウィッチ医科大学のKatharina Mattishent氏らによる研究で明らかになった。研究の詳細は、欧州糖尿病学会(EASD 2018、10月1~5日、ドイツ・ベルリン)で発表された。

Mattishent氏らは、英国における65歳以上の計1万9,995人の1型糖尿病または2型糖尿病患者を対象に、糖尿病と認知症が併存し低血糖を起こさなかった患者群(6,134人)と、これらが併存し低血糖を起こした患者群(1,679人)、糖尿病だけで認知症は併存せず低血糖を起こした患者群(1万2,182人)の3つの群に分けた上で、低血糖エピソードの初発から最長5年間追跡した。

追跡期間中に1万1,716人の死亡が確認された。解析の結果、糖尿病と認知症が併存し低血糖を起こした患者群では、両者が併存し低血糖を起こさなかった患者群に比べて全死亡リスクが66%高いことが分かった(ハザード比1.66、95%信頼区間1.51~1.81)。さらに、糖尿病と認知症が併存した患者群では、糖尿病だけの患者群に比べて重症低血糖後に死亡するリスクが67%高いことも明らかになった(同1.67、1.54~1.8)。

この結果について、Mattishent氏は「糖尿病と認知症が併存する高齢患者の死亡のリスク因子として、低血糖の重要性は十分に認識されていない。高齢患者においては、血糖コントロールの目標値を厳格に設定する必要はなく、持続血糖モニタリング(CGM)で低血糖の発生を観察するべきだ」と述べている。

また、専門家の一人で英アルツハイマー病協会のJames Pickett氏は「認知症治療の画期的な新薬が登場していない状況では、リスクの最小化とケアの質の向上が鍵となる。糖尿病があると認知症の発症リスクが上昇することが知られており、両者の関係について理解を深めることは喫緊の課題だ」と述べている。

さらに、Pickett氏は「糖尿病患者にとって重症低血糖が危険であることは明らかだが、この研究から認知症患者ではその影響はより強まることが示唆された。今回の研究は因果関係を証明するものではないが、重症低血糖の危険性を考慮すると、認知症を併存する糖尿病患者では血糖値を慎重に管理し、低血糖予防に努める必要があるだろう」とコメントしている。

なお、学会で発表された研究結果は、査読を受けた専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2018年10月2日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-management-news-180/diabetes-dementia-can-be-deadly-combination-738227.html

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4.1.1

短時間の軽い運動でも記憶力は向上する?

軽い運動をするだけでも記憶力は向上する可能性のあることが、筑波大学体育系教授の征矢英昭氏らの研究から示された。健康で若い成人男女を対象としたこの研究では、安静に過ごした場合に比べて、エアロバイクをゆっくりと漕ぐ軽い運動を10分間行っただけでも、運動直後に実施した記憶テストの成績が向上したという。詳細は「Proceedings of the National Academy of Science(PNAS)」9月24日オンライン版に掲載された。

今回の研究では、健康で若い成人男女36人を対象に、軽い運動を行った場合と安静に過ごした場合の2回の実験をランダムに実施した。軽い運動時にはエアロバイクをゆっくりと10分間漕ぐ運動をした後に、5分以内に記憶テストを行った。もう一方は、座った姿勢で安静に過ごしてもらった後、同じく5分以内に記憶テストを行った。

記憶テストでは日用品の画像を複数見せて、一般に家の中で使用するものか、外で使用するものかを回答してもらった。次に、日常生活でよく目にする物体の写真を見せ、以前に提示したものと比べて「まったく同じ」であるか、「似ている」「まったく違うもの」であるかどうかを評価してもらった。参加者中16人には、記憶テスト中の海馬とその周辺の活動を高解像度の機能的MRIにより評価した。

その結果、軽い運動を10分間行った直後には、安静に過ごした場合に比べて記憶力テストの成績が向上したことが分かった。また、機能的MRIを用いた検討から、運動直後には学習や記憶に重要な役割を担う海馬の活動が活発化していることが明らかになった。さらに、海馬歯状回と周辺皮質との情報伝達が活発化した人ほど記憶力テストの成績が向上していたことから、軽い運動は海馬歯状回と大脳皮質の間の機能的結合が増大することで記憶力が向上している可能性が示唆されたという。

征矢氏は「この結果は、高齢者などの体力がない人や運動をあまりしたくない人にとって良いニュースになるだろう」と話している。また、今回の研究は若い健康な成人男女を対象としたものだが、これまでの研究で軽い運動は高齢者にも幅広い効果をもたらすことが示唆されていることから、同氏は、軽い運動が認知機能にもたらす効果は若い男女に限ったものではないのではとの見解を示している。さらに、現時点では運動による効果が持続する時間は明らかではないが、「10分間の運動後に少なくとも15分は効果が持続するといえる」と同氏は述べている。

専門家の一人で米アルツハイマー協会のHeather Snyder氏は「軽い運動でも脳機能に良好な影響を与えるということは広く知られているが、具体的にどのような有益性があるのか、また運動が脳によいとする生物学的なメカニズムについてはまだよく分かっていない」と話している。その上で、同氏は「征矢氏らの研究結果は興味深いもので、今後、高齢者でも同様の結果が得られるかどうかを確認することが、次のステップとして重要になるだろう」と指摘している。(HealthDay News 2018年9月24日)

https://consumer.healthday.com/fitness-information-14/misc-health-news-265/short-bout-of-exercise-might-boost-your-memory-737978.html

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1HDN10月1日「パッケージニュース」No.1

女性は地中海食で脳卒中リスクが低減する可能性

栄養バランスに優れ、適正体重の維持に有用とされる地中海食を摂取している女性は、脳卒中の発症リスクが低減する可能性があることが、英アバディーン大学のPhyo Myint氏らが実施した研究で明らかになった。ただし、男性ではこうした地中海食の脳卒中に対する有益性は認められないことも分かった。研究の詳細は「Stroke」9月20日オンライン版に掲載された。

地中海食は果物や野菜、魚、ナッツ類が豊富で、肉類や乳製品を控える食事法を指す。Myint氏らは今回、地中海食による脳卒中への影響を調べるため、欧州のがんに関する大規模な観察研究に参加した40~77歳の男女2万3,232人(平均年齢59.1±9.3歳)を前向きに17年間追跡し、これらの関連を検討した。7日間の食事日記をもとに地中海食の遵守度を評価し、その遵守度の高さで対象者を4つの群に分けて脳卒中リスクを比較した。

その結果、追跡期間中に2,009人が脳卒中を発症した。解析の結果、地中海食スコアが最も高かった群では、最も低かった群に比べて脳卒中リスクは17%有意に低いことが分かった。男女別にみると、女性では地中海食スコアが最も高い群で脳卒中リスクは22%有意に低下したのに対し、男性では6%の低下にとどまっていた。

さらに、心血管疾患リスクが高い集団では、地中海食スコアが最も高かった群では、最も低かった群に比べて脳卒中リスクは13%有意に低下したが、これも主に女性でリスクが20%低減したことによるものであることが明らかになった。

これらの結果を受け、Myint氏は「食習慣を少し変えるだけで、女性は脳卒中リスクを低減できる可能性がある」と述べている。ただし、今回の研究では因果関係は明らかになっておらず、男性で脳卒中リスクの低減効果がみられなかった理由も分かっていないという。

しかし、男女では生物学的に大きな差があることは明らかで、「女性では、経口避妊薬の使用やホルモン補充療法といった女性特有の脳卒中のリスク因子があるほか、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病も脳卒中のリスク因子だと考えられている」とMyint氏は説明している。その上で、「地中海食の一部の要素が、男性よりも女性の脳卒中リスクに良い影響をもたらしているのではないか」と同氏は述べている。

専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの臨床栄養士であるSamantha Heller氏によると、地中海食の特徴は食物繊維やビタミン、ミネラルなど抗炎症作用や抗酸化作用のある栄養素を含む食材が豊富であることだという。同氏は「これまでの研究で、地中海食は心疾患や2型糖尿病、一部のがん、思考力の低下などのリスクを低減することが報告されている」と指摘しつつ、ファストフードや加糖飲料などの炎症を促すような食品は避け、健康的な食品を毎日の食事に取り入れることを勧めている。(HealthDay News 2018年9月20日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/mediterranean-diet-may-cut-stroke-risk-for-women-but-not-men-737860.html

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1HDN10月1日「パッケージニュース」No.2

2060年までに1400万人がアルツハイマー病と推計、米CDC調査

米国では2060年までにアルツハイマー病患者数は、現在のほぼ3倍に相当する1400万人に上ると推計されることが、米疾病対策センター(CDC)国立慢性疾患予防・健康増進センターのKevin Matthews氏らが実施した調査で明らかになった。この結果を受け、CDC所長のRobert Redfield氏は「米国人口の増加に伴い、特にマイノリティにおいてアルツハイマー病などの認知症になる人が増えると予想される」と話している。詳細は「Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Association」9月19日オンライン版に掲載された。

この調査報告では、米国のアルツハイマー病患者数は、2014年時点では人口の1.6%に当たる500万人と推計されたが、2060年には人口の3.3%に相当する1400万人まで増加すると推定された。

米国では現在、アルツハイマー病は65歳以上の死亡原因の第5位を占めている。今回の報告によれば、患者の多くは白人が占め、この傾向は今後も継続すると予想されているが、これは単に白人人口が多いためであり、患者数の増大による影響はマイノリティの方が大きいことも分かった。

現在、65歳以上におけるアルツハイマー病などの認知症の有病率は、黒人では13.8%と最も高く、ヒスパニック系(12.2%)、白人(10.3%)が続いている。CDCは、2060年にはヒスパニック系では320万人、黒人では220万人がこれらの疾患に罹患すると推定している。

米国でアルツハイマー病が増えている理由の一つには、心疾患や糖尿病などの慢性疾患患者の寿命が延び、高齢になった患者が認知症に罹患する確率が高まっていることが挙げられると、CDCは説明している。この事実は今後、認知症患者を介護する家族がさらに増えることを意味する。Redfield氏は「認知症患者やその家族が、医療制度を活用しながら治療計画を立てていくためには、認知症を早期に診断することが今後ますます重要になるだろう」と述べている。

今回の研究を実施したMatthews氏は「計画を早めにしっかりと立てることで、介護者の負担を減らすことができる」と強調している。その上で、「記憶障害で日常生活に支障を来していると感じる人は、医療従事者に早めに相談して欲しい。認知症の介護は長期にわたることが多く、介護計画を立てるには早期診断が不可欠だ」と助言している。(HealthDay News 2018年9月20日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/u-s-alzheimer-s-cases-to-nearly-triple-by-2060-737884.html

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1HDN10月1日「パッケージニュース」No.3

40歳以上の6人に1人が頭部外傷後の意識消失を経験、米調査

頭部外傷に関する研究はフットボール選手や退役軍人を対象としたものが多いが、米ジョンズ・ホプキンス大学のAndrea Schneider氏らによる研究から、予想以上に多くの人が頭部外傷を経験していることが分かった。米国の40歳以上の成人のうち約6人に1人に相当する約2300万人が頭部外傷による意識消失を経験していたという。詳細は「New England Journal of Medicine」9月20日号に発表された。

Schneider氏らは今回、米疾病対策センター(CDC)が実施した2011~2014年の米国民健康栄養調査(NHANES)のデータを分析した。その結果、40歳以上の成人の15.7%が「今までに頭部外傷が原因で意識を失ったことがあるか?」という質問に「ある」と回答していた。また、この割合は女性の12.0%に対して男性では20.0%とほぼ2倍に上った。

その要因について、Schneider氏は「女性よりも男性の方が、兵役や競技者間の接触が多いコンタクトスポーツといった頭部外傷リスクが高い仕事や趣味を持っている人が多いためではないか」と推測している。

そのほか、頭部外傷後に意識消失した経験がある人では、睡眠障害を抱えている確率が54%高く、脳卒中の既往歴がある確率は68%高く、ヘビードリンカーである確率は2倍で、抑うつ症状がある確率は2倍以上であることも分かった。しかし、Schneider氏らは「頭部外傷による意識消失の経験があるとこれらのリスクが高まるのか、あるいはこれらの健康上の問題があると意識消失のリスクが高まるのかは不明だ」としている。

今回の研究には関与していない米マウント・サイナイ脳外傷研究センターのKristen Dams-O’Connor氏は、今回の研究は頭部外傷による意識消失の経験の有無を尋ねただけであることに言及。その上で、「今回の質問項目のみでは軽度の外傷性脳損傷(TBI)の診断基準の一つである頭部外傷による放心状態や混乱状態の経験は反映されない。そのため、今回報告された推計にはこれらの患者は含まれておらず、頭部外傷を経験した人数は報告よりも多い可能性がある」と指摘している。

また、Dams-O’Connor氏によると、頭部外傷による意識消失を経験した人で認知症やパーキンソン病といった神経学的な問題のリスクが上昇するかどうかは明らかになっていないという。「TBIを経験しても、多くの場合は通常の日常生活に戻ることができる。ほとんどのTBI経験者は、認知症やパーキンソン病のような深刻な疾患を発症することはない」と同氏は説明している。(HealthDay News 2018年9月19日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/traumatic-brain-injury-1002/1-in-6-americans-over-40-has-been-knocked-unconscious-study-737861.html

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1HDN9月25日「パッケージニュース」No.4

体内時計がてんかん発作のタイミングに影響か

ヒトの睡眠と覚醒のサイクルを調節する24時間の体内時計(概日リズム)が、てんかん患者の約80%で発作のタイミングに影響している可能性があることが、メルボルン大学(オーストラリア)のMark Cook氏らによる研究から明らかになった。同氏らは「てんかん発作パターンの解明につながる新たな知見であり、てんかん治療の向上に役立つ可能性がある」と期待を示している。この研究結果は「The Lancet Neurology」9月12日オンライン版に発表された。

Cook氏によると、てんかんのような重症度が絶えず変化する疾患を治療するには、その疾患の周期的な性質を理解しておくことが重要だという。同氏らは今回、発作の頻度が高いてんかん患者1,118人が使用するPCや携帯端末のアプリのデータと、脳の電気活動を記録するデバイスを装着したてんかん患者12人を対象とした小規模研究のデータを用いて解析を行った。

それぞれの患者で一定期間(6時間から3カ月)におけるてんかん発作の発生頻度の傾向を特定するため、統計学的な手法により解析した結果、PCや携帯端末アプリを使用する人の80%で概日リズムと発作に関連が認められた。また、脳の電気活動が記録された患者の92%でも同様の関連が示された。なお、PCや携帯端末アプリを使用する人の7~21%は1週間単位のリズム、14~22%は3週間以上のリズムだった。

さらに、対象者の64%では発作に複数の周期のタイプが関連していることも分かった。ただ、週単位の周期が自然に起こっているのか、あるいは患者の環境による影響を受けたものなのかは不明だという。

研究ではそのほか、概日リズムの周期に関連した発作のピーク時間は患者によってさまざまであるが、午前8時前後と午後8時間前後にピークを迎える患者が最も多いことも分かった。一方、週単位の周期がみられた患者では、火曜日と水曜日に発作のピークが来る場合が多かった。このような傾向は性別あるいはてんかんのタイプを問わず認められた。

以上の結果を踏まえ、Cook氏らは「概日リズムの周期はてんかん発作の起こりやすさを調節している可能性がある」と結論づけている。また、さらなる研究で検証する必要はあるが、この研究結果は発作の予測や症状の管理の向上に役立つことが期待されるとしている。さらに、同氏は「抗てんかん薬の効果も時間によって変動する可能性があり、季節の変化や休暇、サマータイムなどもてんかん発作のパターンに影響する可能性も考えられる」と話している。(HealthDay News 2018年9月13日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/internal-body-clocks-may-affect-timing-of-epileptic-seizures-737649.html

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1HDN9月20日「パッケージニュース」No.3

日中の眠気はアルツハイマー病の徴候か

日中に眠気を感じる人は、アルツハイマー病を発症するリスクが高い可能性があることが、米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院メンタルヘルス科准教授のAdam Spira氏らによる研究から示唆された。平均年齢60歳の男女123人を対象としたこの研究では、日中の眠気がある人では、眠気のない人に比べてアルツハイマー病に関与するとされるアミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳内に蓄積する確率が高いことが分かった。詳細は「Sleep」9月5日オンライン版に発表された。

この研究は、認知機能が正常な地域住民を対象に、日中の眠気や昼寝の習慣と平均で15年以上経過した時点の脳画像に基づく脳内のアミロイドβの蓄積との関連を検討したもの。対象は、米ボルチモアで実施された加齢に関するコホート研究の脳画像検査を用いたサブスタディ(Baltimore Longitudinal Study of Aging Neuroimaging Substudy)に参加し、研究開始時に日中の眠気や昼寝の習慣について自己申告し、平均で15.7年後にPittsburgh Compound B(PiB)-PETによる脳画像検査を受けた男女123人。研究開始時の平均年齢は60.1歳で、24.4%に日中の眠気が、28.5%に昼寝の習慣があった。

解析の結果、日中に眠気がない群と比べて眠気がある群では脳画像検査で脳内にアミロイドβの蓄積が認められる確率が高いことが分かった(調整後オッズ比は2.75)。一方、昼寝の習慣については、交絡因子で調整後の解析でアミロイドβの蓄積との間に有意な関連は認められなかった。

Spira氏は「アルツハイマー病を予防するには食事や運動、脳トレーニングなどが重要な要素であることが知られているが、睡眠はこれまでそれほど注目されてこなかった。しかし、今後は、睡眠不足はアルツハイマー病のリスク因子であるというように見方が変わるかもしれない」と話している。

今回の研究はこれらの因果関係を証明するものではないが、Spira氏によれば、睡眠時無呼吸などによって引き起こされた睡眠不足が何らかのメカニズムで脳内にアミロイドβの蓄積をもたらした可能性が考えられるという。その一方で、同氏は「睡眠を評価した時点で既に脳内のアミロイドβが蓄積しており、そのことが眠気をもたらした可能性も否定できない」としている。

なお、これまでに動物実験で夜間の睡眠時間を制限すると脳内や脊髄液のアミロイドβの蓄積につながることや、ヒトを対象とした研究で睡眠不足が脳内のアミロイドβの蓄積と関連することが報告されている。Spira氏は「アルツハイマー病の治療法はいまだ確立されておらず、予防に最善を尽くす必要があるが、今後、治療法が開発されたとしても予防を重視すべきだ」と強調。「十分な睡眠を取ることは認知機能の低下に対する予防策の一つになりうるだろう」と付け加えている。(HealthDay News 2018年9月11日)

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1HDN9月3日「パッケージニュース」No.2

脳腫瘍の放射線治療が小児の記憶に及ぼす影響は?

髄芽腫と呼ばれる小児の脳腫瘍に対する放射線治療は記憶に影響する可能性があり、その仕組みの一端を解明したと、米ベイラー大学心理学・神経科学のMelanie Sekeres氏らが「JNeurosci」8月20日オンライン版に発表した。脳腫瘍への放射線治療を受けた7~18歳の小児や若者では、そうでない者に比べて過去1カ月以内に経験した出来事の時間や場所などを思い出せないことが多いことが分かった。一方、放射線治療を受ける前の出来事に関する記憶には影響はみられなかったという。

髄芽腫は小児で最もよくみられる脳腫瘍で、米国では年間250~500人が髄芽腫と診断されている。治療には外科手術と抗がん剤による化学療法、放射線治療を組み合わせて行うが、このうち放射線治療は生存率を向上させるものの小児の脳の発達に影響を及ぼすことが指摘されている。

米ベイラー大学心理学・神経科学のMelanie Sekeres氏らは今回、7~18歳の髄芽腫患者12人および同じく脳腫瘍である上衣腫の患者1人の計13人の患者と対照とした同年代の健康な9人を対象に、最近および過去に自分が経験した出来事の記憶力を比べる研究を実施した。なお、患者はいずれも外科手術後に放射線治療と化学療法を受けていた。

研究では、対象者に過去1カ月以内に経験した出来事と覚えている限り最も古い出来事について、それぞれの詳細を思い出してもらった。その結果、脳腫瘍の放射線治療を受けた場合には、健康で治療を受けていない場合に比べて最近の出来事の時間や場所を思い出せないことが多かった。しかし、過去(放射線治療を受ける前)に経験した古い出来事に関する記憶については、放射線治療の有無で差はみられなかったという。

Sekeres氏は「頭部への放射線治療により短期的な記憶喪失や学業不振など認知面に影響が出ることは知られていたが、自伝的記憶(autobiographical memory)が保持されるかどうかについては、あまり注目されてこなかった」と話す。しかし、放射線治療の実施前に形成されていた記憶が、治療後にも保持されていたことは予想外だったと、同氏は付け加えている。

今回の結果が得られた背景について、Sekeres氏は、頭部への放射線治療を行うと記憶を司る海馬の神経細胞の成長が阻害されることが考えられるが、それ以外にも、治療によってもたらされた脳全体の変化が記憶障害に関与しているのではとの見方を示している。

専門家の一人で米ジョンズ・ホプキンス大学キンメルがんセンターのMatthew Ladra氏は、今回の結果は記憶の仕組みの解明に新たな展開をもたらすものだと賞賛する。その上で、「次の段階では、記憶力を改善するのにどのようなリハビリテーションが有用なのかを検討することが必要になるだろう」と述べている。(HealthDay News 2018年8月21日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/kids-ailments-health-news-434/radiation-for-childhood-brain-tumor-can-hinder-memory-736874.html

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