4.1.1

「嗅覚の衰え」あるとパーキンソン病リスク5倍に

嗅覚の減退がパーキンソン病の前兆である可能性を示した後ろ向き研究の結果が「Neurology」9月6日オンライン版に掲載された。この研究では、米国の高齢者約2,500人を約10年間追跡した結果、嗅覚検査の成績が不良だった群では、最も良好だった群と比べてパーキンソン病を発症するリスクが約5倍に上ることが示されたという。

今回の研究を実施したのは、米ミシガン州立大学医学部疫学・生物統計学教授のHonglei Chen氏ら。同氏らは、平均年齢が約75歳の男女2,462人(白人1,510人、黒人952人)を平均9.8年間追跡した。研究対象者は1999~2000年に、一般的な食品や日用品など12種類のにおいを嗅ぎ、何のにおいかを回答する嗅覚検査を受けていた。同氏らはこの検査結果に基づき、対象者を嗅覚のレベルが「不良」「中等度」「良好」の3群に分類した。

追跡期間中に42人がパーキンソン病を発症したが、解析の結果、嗅覚のレベルが不良だった群では、良好だった群と比べてパーキンソン病を発症するリスクが4.8倍であることが分かった。また、このような関連は喫煙やコーヒー摂取、頭部外傷の既往など、パーキンソン病リスクに影響しうる他の因子で調整後も認められた。さらに、このような関連は黒人よりも白人で、また女性よりも男性で強く認められた。

Chen氏は「視覚障害や聴覚障害と違い、嗅覚障害は長い間気付かれないまま放置されることが多い。しかし、パーキンソン病や認知症といった根治療法のない神経変性疾患の患者では、これらの疾患を発症する何年も前から嗅覚障害がみられる可能性が高いことが、これまでの研究で示唆されている」と説明している。

ただし同氏は「パーキンソン病は極めてまれな疾患であり、嗅覚障害がある患者の全てがパーキンソン病を発症するわけではない」と強調。その上で、「嗅覚障害に関する研究を重ねることによって、深刻な疾患であるパーキンソン病を発症するリスクが高い人の特定や、診断可能となる前の段階からの発症機序を解明する手掛かりが得られる可能性がある」と話している。(HealthDay News 2017年9月6日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/parkinson-s-news-526/why-your-nose-may-be-key-to-parkinson-s-risk-726289.html

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4.1.1

「あくびが伝染する理由」に新たな手がかり

疲れているわけではないのに、近くにいる人があくびをすると自分もあくびをしてしまうのはなぜだろうか。その手がかりとなる研究結果が、「Current Biology」8月31日オンライン版に掲載された。この研究では、あくびの“伝染”を引き起こしているのは、脳の「一次運動野」と呼ばれる運動機能を司る領域である可能性が示されたという。

今回の研究を実施したのは、英ノッティンガム大学認知神経科学教授のStephen Jackson氏ら。成人36人に「あくびをしたくなっても我慢する」または「あくびをしたければしてもよい」のいずれかを指示した上で、人があくびをするビデオを見てもらった。また、この間、参加者の様子をビデオ撮影し、口を開けてあくびをする回数と、あくびをかみ殺す回数を測定した。さらに、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて参加者の脳の運動野における興奮性を測定した。

その結果、ビデオで人があくびするのを見た際にあくびを我慢することは難しく、我慢するように言われるとあくびへの衝動が強まることが明らかになった。また、あくびの伝染のしやすさは人によって異なること、このような現象は一次運動野での興奮性と生理学的な抑制に起因している可能性が示唆されたという。

あくびの伝染は、反響現象(Echophenomena)の1つと考えられている。反響現象とは相手の言葉や行動を、無意識のうちに真似することで、人間だけでなくチンパンジーやイヌでも見られるという。

また、反響現象はてんかんや認知症、自閉症、トゥレット症候群など、皮質の興奮性や生理学的抑制との関連が指摘されている病態にもみられる。そのため、これらの病態の理解を深める上でも、今回の研究結果は重要だとJackson氏は言う。なお、同氏らは現在、トゥレット症候群の患者の運動野での興奮性を抑えるとチック症状を軽減できるかどうかについて研究を進めているという。(HealthDay News 2017年8月31日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/brain-health-news-80/new-clues-to-why-yawns-are-contagious-726036.html

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脳震盪の症状を知る

脳震盪は、頭部に急な衝撃を受けることによる脳の損傷です。頭部と脳が急速に前後に動くことにより、脳内の化学物質に変化が生じます。

脳震盪を起こしているかどうかを判断するのは難しい場合がありますが、主に以下のような症状がみられます。

・けいれんや発作
・眠気や傾眠
・頭痛が徐々に悪化し、消失しない
・脱力感、無感覚、協調障害
・繰り返す嘔吐や吐き気
・錯乱
・発語が不明瞭
・意識喪失

情報元:米国立医学図書館(NLM)(HealthDay News 2017年8月28日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/concussions-news-733/health-tip-identify-symptoms-of-a-concussion-725636.html

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Senior Man Relaxing In Bed

夢を見ない高齢者は認知症リスクが高い?

睡眠中は「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」を繰り返すが、このうち身体は休息しているが脳は覚醒していて急速に眼球が動いているレム睡眠の状態では夢を見やすい。このレム睡眠の時間が短いと、その後認知症を発症するリスクが高まることが、スウィンバーン工科大学(オーストラリア)のMatthew Pase氏らによる研究で示唆された。詳細は「Neurology」8月23日オンライン版に掲載された。

研究の対象は、1995年から1998年にかけてフラミンガム心臓研究に参加した60歳以上の男女321人(平均年齢67歳、男性が50%)。自宅でポリソムノグラフィ検査により睡眠パターンを測定し、最長で19年間(平均12年間)追跡した。

その結果、32人が認知症を発症した。このうち24人はアルツハイマー病だった。年齢と性で調整して解析した結果、睡眠時間にレム睡眠時間が占める割合が1%低下するごとに、認知症リスクが9%高まることが示された。また、レム睡眠の状態になるまで時間がかかることも、認知症リスクの上昇に関連していた。さらに、レム睡眠時間の割合やレム睡眠の状態になるまでの時間と認知症リスクとの関連は、心血管のリスク因子や抑うつ症状、薬剤の使用などで調整後も認められた。

一方、ノンレム睡眠の状態と認知症リスクとの間には関連は認められなかったとしている。

Pase氏は「この研究では(レム睡眠と認知症リスクとの間の)因果関係について検証したわけではない。今回は関連が認められたに過ぎない」と強調。その上で、「レム睡眠の時間が長いことは、認知症によってダメージを受けやすい脳内での情報伝達に保護的に働くのかもしれない」との見方を示している。ただし、レム睡眠時間の短縮は、独立した認知症のリスク因子である慢性的なストレスや未診断の睡眠障害に起因している可能性もあると付け加えている。

一方、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター精神医学のRicardo Osorio氏は、レム睡眠による認知症リスクへの影響について理解することは、ヒトが何のためにレム睡眠の状態を経験するのかが現時点でははっきりと分かっていないため難しいことを指摘。その上で、「これまでの睡眠と認知症との関連を検討した研究のほとんどは、レム睡眠ではなく、より深い睡眠状態による影響に注目したものだった。今回の研究は、レム睡眠も脳の機能に重要な睡眠状態であることを浮き彫りにした。レム睡眠時の神経活動は記憶の固定やアルツハイマー病の発症を抑制する上で重要なのかもしれない」と話している。(HealthDay News 2017年8月23日)

https://consumer.healthday.com/sleep-disorder-information-33/misc-sleep-problems-news-626/do-fewer-nightly-dreams-mean-higher-dementia-risk-in-seniors-725805.html

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Senior doctor talking with patient and tablet in office

がんの診断後は心筋梗塞や脳梗塞のリスク高まる

がんと診断されたばかりの患者は、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈血栓塞栓症のリスクが高い状態にあることが、米ワイルコーネル・メディスンのBabak Navi氏らによる研究で示された。詳細は「Journal of the American College of Cardiology」8月22日号に掲載された。

動脈血栓塞栓症は、脚などの動脈にできた血栓が血液の流れに乗って運ばれ、他の部位の血管を塞いでしまう疾患のこと。今回の研究では、新たにがんと診断された患者では、特に診断後6カ月間、動脈血栓塞栓症のリスクが高いことが明らかになったという。

Navi氏らは今回、米国のがん登録(SEER)と公的医療保険(メディケア)の2002~2011年のデータベースを用い、乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん、膀胱がん、膵臓がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫のいずれかの新規診断例と、背景因子や併存症をマッチさせたがんではない人計27万9,719組を2012年まで追跡した。

その結果、診断から6カ月間の動脈血栓塞栓症(心筋梗塞または脳梗塞)の累積発症率は、非がん患者の2.2%に対してがん患者では4.7%と約2倍に達していた。また、個別に解析したところ、心筋梗塞の累積発症率はそれぞれ0.7%、2.0%、脳梗塞の累積発症率はそれぞれ1.6%、3.0%だった。

さらに、こうしたがん患者における動脈血栓塞栓症リスクの高さは、がん種やステージによって異なること、特に進行した肺がんや胃がん、膵臓がんの患者でリスクが高いことが分かったという。

なぜ、がん診断後に心血管疾患のリスクが高まるのだろうか。考えられる危険因子の1つに「喫煙」が挙げられるが、今回の研究では喫煙との関連が示されていないがん種の患者でも、心血管疾患のリスク上昇が認められたという。

Navi氏らは、がんは血栓が形成されやすい「凝固亢進状態」をもたらしやすいこと、また一部のがん化学療法も血栓リスクを高める可能性があることを指摘している。したがって、がんと診断された患者では、心血管疾患リスクを抑制するために抗血栓薬やスタチンの使用が有益である可能性があるが、同氏らは「がん患者は治療による影響で出血しやすくなっている場合が多いため、抗血栓薬やスタチンの使用については、臨床試験でその安全性を検証する必要がある」としている。

この研究結果について、循環器の専門家2人は「当然の結果」と受け止めている。米レノックス・ヒル病院のSatjit Bhusri氏は「がんはさまざまな二次性の合併症を引き起こす。その1つが血液凝固の亢進であり、それによって心筋梗塞や脳卒中に至る可能性もある」と説明。ただし、抗血栓薬の使用については「個々の患者でリスクとベネフィットを評価する必要がある」と強調している。一方、米サウスサイド病院のPuneet Gandotra氏もこれに同意し、「このような複雑な患者の治療では、循環器とがんのそれぞれの専門家による連携が必要であることが今回の研究で示された」と話している。(HealthDay News 2017年8月15日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/heart-risks-may-rise-after-cancer-diagnosis-725500.html

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Young dad and his two sons playing video games

一部のテレビゲームで脳の灰白質が萎縮?

アクション型のテレビゲームをプレイする人の一部で、脳の灰白質と呼ばれる部分の萎縮が認められたとする研究結果が「Molecular Psychiatry」8月8日オンライン版に掲載された。ただ、同研究ではゲームをプレイする際の脳の働かせ方やゲームの種類によっては灰白質の容積が増加することも分かったという。

これまでに、テレビゲームには注意力や短期記憶力を向上させる利点があるとの研究結果が報告されていたが、今回の研究からは、こうしたゲームによる効果を得るには代償を伴う可能性が示唆された。

この研究は、18~30歳の男女約100人を対象にモントリオール大学(カナダ)のGregory West氏らのグループが実施したもの。参加者にはゲームの熟練プレーヤーと未経験者が含まれていた。

参加者には、一人称視点で3次元(3D)マップを移動して敵を攻撃するファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)または三人称視点でプレイするサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)である「コールオブデューティ」や「バトルフィールド」、「キルゾーン」などのゲーム、あるいは3Dプラットフォームでプレイする「スーパーマリオ」シリーズのゲームを90時間プレイしてもらい、MRI検査を実施して脳の海馬と呼ばれる空間や物事の記憶を司る領域への影響を評価した。

その結果、「空間的戦略(spatial strategies)」に基づいてゲームをプレイしていた人には、海馬における灰白質の容積の増加が認められた。それに対し、「反応学習(response learning)」に基づいてゲームをプレイしていた人では、灰白質の容積が縮小していたという。West氏らによると、空間的戦略では頭の中に地図を描いて地形を理解するのに対し、反応学習では単に左右に曲がる場所を覚える感覚でゲームを進めるという。

さらに、プレイ時の脳の働かせ方によって差がみられるだけでなく、「スーパーマリオ」シリーズのゲームをプレイした群では、海馬だけでなく嗅内皮質と呼ばれる脳領域の容積も増加することが示唆された。

この結果を踏まえ、研究グループの一員でマギル大学(カナダ)准教授のVeronique Bohbot氏は「ゲームをプレイする人が誰でも精神疾患を発症するわけではないが、海馬の灰白質が萎縮した人は統合失調症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、アルツハイマー病などのリスクが高いことが分かっている」と説明している。

一方、米ステッソン大学のChris Ferguson氏は、今回のようなテレビゲームによる脳への影響に関する研究には問題点があると指摘。「脳にはさまざまな領域があるが、その一部にたまたま認められた差を研究者が大袈裟に取り上げ、その原因はテレビゲームにあるとしている場合もあるのではないか」としている。その上で、同氏は「脳の研究を全体的に見ると、テレビゲームは安全であることが示されている。暴力的なゲームであっても脳に短期的あるいは長期的な悪影響を及ぼすとの報告はなく、脳の変化が実際の行動に関連することを示した研究もほとんどない」と説明している。

なお、West氏は「成人がシューティングゲームをプレイする時間は週2~3時間以内とすべき」と助言しているが、Ferguson氏は「ゲームによりストレスが軽減され、問題解決能力が向上することを示す研究もある。オフラインでの人付き合いや運動、仕事や学校、家族、十分な睡眠の時間を確保し、ゲーム以外の時間とのバランスを維持できれば、テレビゲームによる脳への有害な影響はない」としている。(HealthDay News 2017年8月7日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/video-game-health-news-786/can-video-game-playing-cost-you-gray-matter-725310.html

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4.1.1

「歯科治療」が腹痛や足のしびれの原因に

歯科治療には思わぬリスクがあることを示す2症例が「BMJ Case Reports」8月7日および8日のオンライン版で紹介された。

サー・チャールズ・ガードナー病院(オーストラリア)のTalia Shepherd氏らは、歯科矯正を終えた10年後に腹痛がきっかけで矯正用のワイヤーを腸から摘出した30歳の女性患者について報告した。

同氏によると、女性は腹痛を訴えて受診。当初、胆石疝痛が疑われたが超音波検査などでは異常は認められなかった。その後、痛みが悪化したためCT検査を実施した結果、小腸の数カ所で歯科矯正用ワイヤーが貫通し、これが原因で腸捻転と呼ばれる症状が起きていることが分かった。そこで、緊急手術でワイヤーを摘出したところ、痛みは消失し、完全に回復した。患者は過去10年間、歯科矯正器具を使用しておらず、以前矯正していた時にワイヤーを飲み込んだり、なくしたりした記憶もなかったという。

この症例を経験したShepherd氏らは「内科的疾患の既往や手術歴のない患者が腹痛を訴えた場合には、その原因として異物の誤飲を考慮する必要がある」としている。

一方、英クイーン・エリザベス大学病院のLiam Stuart Carroll氏らは、それまで健康状態に問題がなかったにもかかわらず、義歯の接着剤の長期使用が原因で脚の感覚を失うことになった62歳の男性について報告した。男性は治療と集中的な理学療法を受けたにもかかわらず、接着剤に含まれる亜鉛に起因したまれな神経疾患からまだ完全に回復していないという。

男性は、神経科クリニックに紹介されるまでの6カ月間、脚の疼痛やしびれ、脱力感が続いており、外出することも難しかった。MRI検査で脊髄に異常が認められ、さまざまな検査が実施された結果、最終的に銅欠乏性脊髄症と診断された。原因は過去15年間使用していた義歯床用ペーストに含まれる亜鉛だったという。

Carroll氏らは「まれに、過度の亜鉛摂取が銅の吸収を妨げ、神経障害を引き起こすことがある。この症例では診断の遅れにより神経障害が回復不能になったと考えられる。もし迅速に診断し、治療を行っていれば永続的な障害は回避できた可能性がある」と説明している。(HealthDay News 2017年8月8日)

https://consumer.healthday.com/dental-and-oral-information-9/misc-dental-problem-news-174/some-medical-ills-call-for-dental-detective-work-725269.html

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4.1.1

日によって血圧値が大きく変動する人は認知症リスクが高い?

血圧値が測定した日によって大きく異なる人は、認知症を発症するリスクが高い可能性が、60歳以上の日本人約1,600人を対象とした新たな研究で示された。日ごとの血圧値の変動幅が大きな人では、血圧値が安定している人と比べて認知症リスクが2倍超となることが分かったという。

この研究は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学の小原知之氏らが実施したもの。福岡県久山町の疫学調査「久山町研究」に登録されている地域住民のうち、60歳以上で認知症のない男女1,674人を2007年から2012年まで5年間追跡した。対象者には高血圧患者も含まれており、約40%が降圧薬を使用していた。

対象者は研究開始時に28日間(中央値)にわたって毎朝3回、家庭血圧計で血圧を測定した。小原氏らは今回、3回の測定値の平均値をその日の血圧値として変動係数を求め、日ごとの血圧値〔収縮期血圧(SBP)値および拡張期血圧(DBP)値〕の変動幅の大きさと、認知症リスクとの関係について調べた。

その結果、追跡期間中に194人が認知症を発症し、そのうち47人が血管性認知症、134人がアルツハイマー病だった。日ごとのSBP値の変動幅を「最も大きい」から「最も小さい」まで4段階に分けたところ、変動幅が最も大きい人のグループでは、最も小さい人のグループと比べて全体的な認知症のリスクが2.27倍、血管性認知症のリスクが2.79倍、アルツハイマー病のリスクが2.22倍になることが示された。

また、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことによる認知症リスクの上昇は、高血圧患者だけでなく正常血圧の人でも認められた。小原氏は、今回の研究結果で最も重要なのは「日本の一般的な高齢者において、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことは、認知症発症のリスク因子であることが示された点だ」と説明。ただし、この研究は観察研究であるため、小原氏は「血圧の変動幅が大きいことが原因で認知症を発症することが示されたわけではない」と注意を促している。その上で「もし血圧値の変動幅が大きければ、それを安定化させることが認知症の予防に役立つ可能性はある」との見方を示している。

この研究結果を受け、米ウェイル・コーネル医科大学のCostantino Iadecola氏は「(小原氏らのグループは)研究に家庭血圧計を使用することで、血圧の変動幅と認知症リスクとの関連を明確に示すことができた」と評価。「血圧の変動幅を小さくする対策を講じれば、脳の血管の健康を維持できるかもしれない」との考えを示し、そのタイミングについて「高齢になってからではなく、認知機能の低下が始まる中年期から手を打つことが望ましい」と話している。

その一方でIadecola氏は、小原氏らの研究論文に関する論評で、血圧値は測定時の体調や使用している薬剤による影響を受けやすく、降圧薬の飲み忘れなどで変動が生じる場合もあるなど、研究には複数の限界があることを指摘。「今後、より大規模かつ多様な集団で今回の研究結果を検証する必要がある」としている。

この研究の詳細は「Circulation」8月8日号に掲載されている。(HealthDay News 2017年8月7日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/high-blood-pressure-health-news-358/blood-pressure-fluctuations-tied-to-dementia-risk-in-study-725351.html

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2HDN糖尿病ニュース8月17日配信

糖尿病治療薬がパーキンソン病の治療にも有望な可能性

GLP-1受容体作動薬のエキセナチド(商品名:バイエッタ)がパーキンソン病治療薬としても有望である可能性が、「Lancet」8月3日オンライン版に掲載の論文で報告された。同薬の投与を中止した後でもパーキンソン病の運動症状に改善がみられたという。

論文の責任著者を務める英ロンドン大学神経学研究所のTom Foltynie氏は「パーキンソン病の既存治療の効果は症状緩和に限られており、疾患自体の進行を止めることはできなかった。しかし、今回、エキセナチドがパーキンソン病の症状を軽減するだけでなく、疾患の進行を食い止める可能性を示す強いエビデンスが得られた」と研究の意義を説明している。

なお、パーキンソン病は神経変性疾患では世界で2番目に多く、筋肉が硬くなる(固縮)、手足が震える(振戦)、動きが鈍くなる、睡眠障害、慢性疲労といった症状が現れる。

今回の研究では、2014年6月~2015年3月に登録したパーキンソン病患者62人(25~75歳)を対象に、通常治療に加えて週1回のエキセナチド投与を48週間継続する群(32人)またはプラセボを投与する群(30人)にランダムに割り付けて追跡した。治療開始から60週後にMovement Disorder Society Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)Part3を用いて運動症状(動きの敏捷性や会話、振戦)を評価したところ(解析対象はエキセナチド群31人とプラセボ群29人)、プラシボ群と比べてエキセナチド群ではスコアが平均で3.5点上回り、有意に優れていることが分かった。

この研究を助成した米マイケル・J・フォックス・パーキンソン病研究財団のBrian Fiske氏は「安全性が確かめられている薬を別の疾患に利用する既存薬の再開発(drug repurposing)という手法により、パーキンソン病治療の飛躍的な進歩につながるかもしれない」と期待を示す一方で、「パーキンソン病に対するエキセナチドの効果と安全性が確立されるまでは、この治療法の実践は控えるべきだ」と強調している。

別のパーキンソン病の専門家(米ノースウェルヘルス神経科学研究所のMartin Niethammer氏)も、今回の研究は小規模で観察期間も短く、評価した転帰も限定されるなどさまざまな限界点があると指摘しつつ、「今後の大規模かつ長期の研究で、同薬がパーキンソン病の根本治療薬となるのか、あるいはその効果が症状改善にとどまるのかを検証する必要がある」とコメントしている。(HealthDay News 2017年8月4日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/parkinson-s-news-526/diabetes-drug-shows-promise-against-parkinson-s-725242.html

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脳卒中後の抗血小板薬による出血リスクを予測する10の因子

脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の患者に再発予防のために投与される抗血小板薬には出血リスクがある。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのNina Hilkens氏らは、過去に発表された6件の臨床試験のデータに基づき脳梗塞やTIA患者の出血リスクを予測する10の因子を特定し、抗血小板薬による出血リスクを評価するモデルを開発した。

脳梗塞やTIAを経験した患者の多くは、再発予防のために血栓ができにくくする抗血小板薬などの抗血栓薬を使用する。しかし、抗血栓薬には出血リスクがあり、出血が起こると障害や死亡に至る可能性もある。

そこでHilkens氏らは今回、再発予防のために抗血小板療法を受けている脳梗塞やTIAを経験した患者の出血リスクを予測するモデルを開発するため、抗血小板薬の臨床試験6件に参加した計4万3,112人のデータを統合して解析した。このうち1,530人で大出血イベント(頭蓋内出血または出血による死亡、入院、障害)が発生し、大出血リスクは最初の1年間で1.9%、3年間では4.6%であることが分かった。

大出血リスクの予測因子は(1)男性、(2)喫煙、(3)抗血小板薬の種類(ジピリダモールとの併用の有無を問わないアスピリンの使用、あるいはアスピリン+クロピドグレルの使用)、(4) 中等度以上の障害(modified Rankin Scale3以上)、(5)脳卒中の既往、(6)高血圧、(7)低BMI、(8)高齢、(9)アジア系人種、(10)糖尿病―の10因子で、最も強いリスク予測因子は年齢であることが分かった。

大出血リスクはリスク因子がない45~55歳の患者では2%だったが、複数のリスク因子がある75~85歳では10%超と、年齢によって大きな開きがあった。解析対象の4万3,112人の大出血リスクを今回開発されたモデルにより評価した結果、2万3,678人が「低リスク」に、1万6,621人が「中等度リスク」に、2,813人が「高リスク」に分類された。

今回、加齢に伴い出血リスクが上昇することが分かったが、この結果についてHilkens氏は「脳梗塞やTIAの高齢患者が増えていることを踏まえると注目すべきもの。脳卒中の約30%は80歳以上の患者で発症している」と説明している。また、「このモデルは大出血リスクが高い患者を特定するには有用だが、抗血小板薬の選択における指針とすることは想定していない」と強調。「抗血小板療法では、常に出血リスクと脳卒中再発リスクとのバランスを考慮する必要がある」としている。

この研究結果は「Neurology」8月2日オンライン版に掲載された。(HealthDay News 2017年8月2日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/10-factors-to-predict-bleeding-risk-in-stroke-survivors-725072.html

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