Heart framing from fingers on woman chest with pink badge to support breast cancer cause, PS: you can change the ribbon color to red to support AIDS cause as both using same symbol

スクリーニングと治療の進歩で乳がん死が半減

近年、スクリーニングと治療が飛躍的に進歩したことで、乳がん死亡率が大幅に低下したことが米スタンフォード大学医学部教授のSylvia Plevritis氏らの研究で明らかになった。シミュレーションモデルを用いたこの研究では、スクリーニングや治療によって乳がん死が半減したと推定された。詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」1月9日号に掲載された。

Plevritis氏らは今回、6つのCISNET(Cancer Intervention and Surveillance Modeling Network)のシミュレーションモデルを用いて、2000~2010年に30~79歳の米国人女性の乳がん死亡率低減にスクリーニングと治療がどの程度寄与したのかについて検討した。

その結果、2000年にはスクリーニングおよび治療によって乳がん死亡率が37%低下したと推定された。また、こうした乳がん死亡率の低減効果の44%はスクリーニング、56%は治療によるものであることが分かった。

2012年にはスクリーニングおよび治療によって乳がん死亡率が49%低下し、その低減効果の37%はスクリーニング、63%は治療によるものと推定された。なお、2000年と比べて2012年に乳がん死亡率がさらに低下したのは、この間に乳がんの治療とスクリーニングが大幅に向上したためであることも明らかになった。

なお、2000年の時点では乳がん死亡の抑制効果に対する寄与度はスクリーニングと治療で同程度だったが、2012年には治療がスクリーニングを上回っており、スクリーニングよりも治療の向上の方が死亡率の低減により大きく貢献したことも分かった。

米国がん協会(ACS)医務部門副部長のLen Lichtenfeld氏によると、この間に乳がん治療ではエストロゲンによって増殖するタイプ(ER陽性)の乳がんに対してホルモン療法が実施されるようになったほか、特定の遺伝子(HER2遺伝子)に異常があるタイプ(HER2陽性)の乳がんに対しては新たな治療薬としてトラツズマブ(商品名ハーセプチン)といった分子標的薬が登場。以前から行われている化学療法も向上したことも、乳がんの予後を改善した。スクリーニングについては、この間に従来のマンモグラフィと比べて鮮明な画像が得られるデジタルマンモグラフィが普及し、死亡率の低減に寄与した。

Plevritis氏らによる今回の研究では、乳がんのサブタイプごとのスクリーニングと治療による乳がん死亡率の抑制効果についても検討された。その結果、ER陽性かつHER2陽性の乳がんによる死亡率の低減効果のうち、69%は治療、31%はスクリーニングによる効果であることが示された。一方、エストロゲンなどのホルモン受容体が陰性で、HER2も陰性の「トリプルネガティブ」と呼ばれるタイプの乳がんでは、死亡率の低減に治療とスクリーニングが同程度に寄与していることが分かった。

米国臨床腫瘍学会(ASCO)前代表で米ミシガン大学のDaniel Hayes 氏は「乳がんは早期に発見すれば治療の成功率も高まる。どのタイプのがんでも、スクリーニングで早期発見して治療することで死亡リスクは低下する」とスクリーニングの重要性を強調。Lichtenfeld氏も「コンピューターモデルを用いた今回の研究で、マンモグラフィが乳がんによる死亡を大幅に低減してきたことが明示された。治療が全てであると捉えるべきではない」と話している。(HealthDay News 2018年1月9日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/screening-treatment-cuts-breast-cancer-deaths-in-half-729994.html

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1-1 HDN1月11日「今日のニュース」No.1

2017年の注目ヘルスケア関連ニュース、トップは「オピオイド問題」

2017年に米国で注目されたヘルスケア関連ニュースを振り返ると、最も話題となったニュースはオピオイド中毒の蔓延に関連したものだった。12月21日に米疾病対策センター(CDC)のグループが発表した研究では、オピオイドを含む薬物中毒死の増加が米国民の平均余命の短縮をもたらしたことが明らかになった。これを受け、専門家からは他の疾患と同じように薬物依存症に対しても対策を講じる必要があるとの声が上がっている。

トランプ政権による医療保険制度改革法(ACA、通称オバマケア)改廃の動きも注目を集めた。穏健派の抵抗によりその試みは容易には進まなかったが、クリスマスを前にオバマケアの柱の一つであった個人の医療保険加入義務を廃止する法案が議会を通過した。

また、昨年は映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏による性的ハラスメント(セクハラ)疑惑が報じられたことをきっかけに、芸能界や政界の大物らによるセクハラ行為が次々と明るみに出た。ソーシャルメディアでは同じように被害を受けた多くの女性や一部の男性が自身の経験について投稿。“#MeToo(私も)”ムーブメントとして一気に広がった。

一方、2017年には医学分野で大きな前進がみられた。特に注目されたのは、米食品医薬品局(FDA)が3種類の遺伝子治療を承認したというニュースだ。8月には急性リンパ性白血病(ALL)の治療にKymriahが承認され、その後大細胞型B細胞性リンパ腫やまれな遺伝性網膜疾患の治療にも遺伝子治療が承認されている。

薬の飲み忘れを防ぐ “デジタル錠剤”のエビリファイ マイサイト(Abilify MyCite)も、服薬遵守が治療成功の鍵とされる統合失調症や大うつ病性障害などの補助療法として使用することが承認された。同剤にはセンサーが内蔵されており、スマートフォンなどのデバイスで患者が薬を飲んだかどうかが確認できる。

昨年は医学分野での人工知能(AI)の躍進も目立った。乳がん患者のリンパ節転移の有無を、病理医よりも高い精度で評価できるコンピューターアルゴリズムの開発に成功したとする報告もあった。

このほか、米国では肥満者がますます増加していることも報じられ、問題の深刻さが浮き彫りになった。CDCは10月、米国の成人の約40%、小児の18.5%が肥満であると報告。肥満率は1999~2000年の調査時(成人30.5%、小児14%)から、さらに上昇していることを明らかにした。

ワクチンについてもさまざまな話題があった。良いニュースとしては、多くの高齢者にベネフィットをもたらす帯状疱疹のワクチンであるShingrixが登場したというニュースが挙げられる。一方、2016~2017年の季節性インフルエンザワクチンの効果はわずか48%だったというニュースは多くの人を落胆させた。なお、一部の専門家からは今シーズンもワクチンの効果は前年と同程度にとどまるのではないかとする懸念の声が上がっている。(HealthDay News 2017年12月28日)

https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/opioids-990/epidemic-of-opioid-abuse-is-top-health-news-of-2017-729685.html

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Portrait of the breast cancer survivor with positive attitude.

米国のがん死亡率、低下続く

がんの早期発見や治療の向上に加え、禁煙率の上昇が功を奏し、米国では順調にがんによる死亡率が低下し続けていることが分かった。米国がん協会(ACS)がこのほど発表した報告書「がん統計2018年版(Cancer Statistics 2018)」によると、米国では1991年から2015年まで毎年がん死亡率の低下を記録しているという。報告書は「CA: A Cancer Journal for Clinicians」1月4日オンライン版に掲載された。

今回の報告書には2014年までのがん罹患率と2015年までのがん死亡率の推移のほか、2018年の年間発症数および死亡数の予測値も示された。それによると2015年のがん死亡率は前年と比べ1.7%低下し、1991年以降、低下傾向が続いていることが分かった。10万人当たりのがん死亡者数は1991年の215.1人から2015年には158.6人に減少し、この間にがん死亡率は26%低下していた。これは、同期間に240万人のがん死亡を予防できたことに相当するという。

がんの種類別では肺がんや乳がん、前立腺がん、大腸がんによる死亡率が大幅に低下しており、全体的ながん死亡率を引き下げる主な要因となっていた。2015年の男性の肺がん死亡率は1990年と比べて45%、女性の乳がん死亡率は1989年と比べて39%、前立腺がん死亡率は1993年と比べて52%、大腸がん死亡率は1970年と比べて52%の低下が認められた。

また、この10年で男性のがん死亡率は年間2%の低下が認められているが、女性では横ばいに推移していることも分かった。こうした男女差について、報告書の著者の一人でACSサーベイランス・ヘルスサービス・リサーチ部門のAhmedin Jemal氏は「女性よりも男性の方が喫煙率の低下が早く始まったことが要因ではないか」との見方を示す。このため、今後女性でも肺がん死亡率が大幅に低下することが予測されるという。

人種差については、白人と比べて黒人のがん死亡率が33%高かった1993年と比べると縮小傾向にはあるが、それでも2015年のがん死亡率は白人と比べ黒人では14%高かった。ただ、65歳未満の黒人では同年代の白人と比べてがん死亡率が31%高かったのに対し、高齢者(65歳以上)では7%高いだけにとどまっていた。この点について、Jemal氏らは「メディケア(高齢者向け公的医療保険)によって高齢者が医療を受けやすくなったことが背景にあるのではないか」との推測を示している。

米レノックス・ヒル病院のStephanie Bernik氏は、「喫煙者を減らし、健康的な生活習慣を奨励し、個別化治療が進めば、さらなる死亡率の低下が期待できる」と話す。一方、米ニューヨーク大学(NYU)ウィンスロップがんセンターのEva Chalas氏は、今後のがん対策では肥満や過体重に目を向けることも必要だと指摘。「がんの約10%は(肥満の原因にもなる)生活習慣に起因している。したがって、生活習慣を是正することががんの予防につながる」としている。また同氏は一部のがん予防にはヒトパピローマウイルス(HPV)などのワクチン接種という手段がある点についても言及している。

さらに、喫煙率は低下したものの依然として米国の喫煙人口は約4000万人に上ることを報告書の著者であるJemal氏は指摘。喫煙率の低下をさらに推し進める必要性を強調している。(HealthDay News 2018年1月4日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/u-s-cancer-deaths-steadily-dropping-report-729878.html

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がん治療中も学校の勉強を続けよう

子どもががんの治療を受けているときは、学校の勉強は優先すべき対象から外されがちかもしれません。

しかし小児がん患者の多くは学校に行き、ほかの子どもたちと一緒に過ごすことを平常な生活の象徴と考えています。

治療中でも以下のような方法でできる限り学習を続けましょう。

・自宅での指導を頼んでみましょう。米国では多くの場合、公立学校が無償で指導を提供しています。
・病院やクリニックで院内学級に参加することもできます。
・医学的に問題がなく、子どもの体調が十分によければ、治療中でも通常どおり通学を続けることもできます。

情報元:米国がん協会(ACS)(HealthDay News 2017年12月28日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/misc-kid-s-health-news-435/health-tip-schooling-while-managing-cancer-729432.html

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Male doctor explaining spine x-ray to patient in the medical office

オバマケア、がんの早期発見に貢献

オバマ政権下で施行された医療保険制度改革法(ACA)、通称オバマケアによって早期に発見されるがんが増え、多数の命が救われた可能性を示唆する研究結果が「American Journal of Public Health」2017年12月21日オンライン版に掲載された。2014年までにオバマケアの柱の一つであるメディケイド(低所得者向け公的医療保険)の加入資格の拡大を実施した州では、拡大を拒否した州と比べて早期に診断されるがんが増加したことが分かったという。

この研究を実施したのは米インディアナ大学経営学部のAparna Soni氏ら。メディケイド拡大は無保険者を減らすことを主な目的としたオバマケアの柱の一つとして位置付けられていたが、実施するか否かの判断は州政府に委ねられていた。Soni氏らは今回の研究でメディケイド拡大が生産年齢人口のがん診断率にどのように影響したのかについて検討した。

研究では2010~2014年のがん登録データを用いて13州611郡の生産年齢人口(19~64歳)の郡レベルでのがん診断率を推定し、メディケイド拡大を実施した州と拒否した州との間でその変化率を比較した。なお、このうち9州が2014年までにメディケイド拡大を実施していた。

その結果、メディケイド拡大によって全体的ながんの診断率が3.4%上昇したことが分かった。これは、人口10万人当たりのがん診断数が13.8件増加したことに相当するという。

また、早期がんのみに限定すると診断件数の増加はより顕著で、メディケイド拡大によって診断率は6.4%上昇(人口10万人当たりのがん診断数15.4件の増加に相当)したことが明らかになった。なかでも35~54歳での乳がんや大腸がんといった早期に発見しやすいがんの診断数が増加したことが、早期がんの診断率を押し上げる要因となっていた。

Soni氏は「早期の段階でがんを発見できれば治療が成功する可能性は高まり、がんによる死亡率の低減につながることは既に立証されている」と説明。メディケイド拡大は低所得者層の医療サービスの利用率を高めるために実施されたが、それによって早期に発見されるがんが増え、がんによる死亡を減らせる可能性があるとの見方を示している。

また、同氏は「がんは診断が遅れるほど治療費が高くなりやすいため、長期的には医療費の削減にもオバマケアが寄与する可能性がある」としている。

米国では12月20日、無保険者に対する医療保険への加入義務の撤廃などを含むオバマケアの一部改廃を盛り込んだ税制改革法案が可決された。ただ、この時点ではメディケイドの縮小は決まっていない。

米国がん協会(ACS)のAhmedin Jemal氏は「(Soni氏らの研究は)オバマケアが縮小され医療保険を失う人が増えれば、がんの発見が遅れる可能性があることを示したものだ」とコメントしている。(HealthDay News 2017年12月21日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/affordable-care-act-obamacare-955/obamacare-helped-more-americans-spot-cancer-early-729610.html

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businessman with indigestion or stomach pain

慢性的な胸やけがある人は頭頸部がんにも注意すべき?

胃酸の逆流によって慢性的な胸やけをもたらす胃食道逆流症(GERD)が、頭頸部がんのリスクに関連することが新たな研究で示された。GERD患者は高齢者を中心に数多く、珍しい疾患ではない。しかし、これまでにGERDが食道がんや胃がんなどの消化器がんのリスクに関連することが報告されている。今回の研究では、GERDが喉頭がんや咽頭がんなどの頭頸部がんを発症するリスクにも関連することが初めて示された。詳細は「JAMA Otolaryngology Head & Neck Surgery」2017年12月21日オンライン版に掲載された。

この研究を実施したのは米オクスナークリニック財団のEdward McCoul氏ら。2003~2011年に頭頸部がんのうち喉頭がんや咽頭がん、副鼻腔がんなどの上部気道消化管(UADT)がんと診断された66歳以上の男女1万3,805人(年齢中央値74歳、75%が男性)と、年齢や性をマッチさせたUADTがんがない同数の男女を対象とした症例対照研究で、GERDとUADTがんとの関連について検討した。

その結果、GERDがある人では、ない人と比べて喉頭がんで2.86倍、下咽頭がんで2.54倍、中咽頭がんで2.47倍、扁桃がんで2.14倍、鼻咽頭がんで2.04倍、副鼻腔がんで1.40倍のリスク上昇が認められた。

McCoul氏らによると、UADTがんによる死亡者数は世界で年間36万人を超えるという。ただ、今回の研究はGERDがUADTのがん発症の原因となるという因果関係を示したものではなく、両者の関連を示したに過ぎない。また、同氏らは「今回の研究で用いたデータには、頭頸部がんの危険因子である喫煙歴や飲酒歴に関する情報が含まれていなかったため、今後より詳細な検討が必要だ」と説明している。

この研究結果について、米レノックス・ヒル病院のAnthony Starpoli氏は「この知見は驚くものではない」とした上で、「胃から逆流する(胃酸などの)物質は食道の上部まで上昇することがある。これが喉や副鼻腔、肺にまで侵入し、慢性的な炎症を引き起こす可能性もある」と話している。

一方、米スタテン・アイランド大学病院のDavid Hiltzik氏は「この研究は因果関係を明らかにした研究ではない。しかし、慢性的な胃酸の逆流はがんの原因となる可能性があると意識して早期から積極的に対処することの必要性をあらためて示したといえる」と指摘。GERD患者に対し「毎日の食事や習慣が長期的には深刻な影響をもたらす可能性があることを認識してほしい」と呼び掛けている。(HealthDay News 2017年12月21日)

https://consumer.healthday.com/gastrointestinal-information-15/heartburn-gerd-and-indigestion-news-369/chronic-heartburn-tied-to-higher-odds-for-head-neck-cancers-729566.html

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1-1 HDN12月28日「今日のニュース」No.2

新たな機序のがん治療薬、幅広い種類のがんで有望な成績

がんに関わるシグナル伝達経路の異常を標的とした新たな作用機序のがん治療薬が、種類を問わずさまざまな固形がんの患者の治療に有望であることが予備的な臨床試験によって明らかになった。この試験の成績は「Cancer Discovery」12月15日オンライン版に掲載された。

この臨床試験は、米マサチューセッツ総合病院のRyan Sullivan氏が率いる研究グループが実施したもの。さまざまな種類の進行した固形がんの患者のうち、前治療による効果が得られなかった患者135人が登録された。

同試験で使用したのは、細胞内の情報伝達で重要な役割を果たしている分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)のうち、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)1/2を阻害する作用を有するulixertinibと呼ばれる新薬だ。同薬による治療の結果、がんの種類にかかわらず、患者の一部で「部分奏効」または「疾患安定」が認められたという。

米ノースウェル・ヘルス、ハンチントン病院のMaria Nieto氏によると、MAPK/ERK経路は細胞表面にある受容体と細胞核内の遺伝子との間で情報を伝えている。この経路の上流にあるRAS遺伝子やBRAF遺伝子などに変異が生じると経路が異常に活性化され、細胞の増殖を制御できなくなって発がんにつながる。こうした異常は多くのがんに共通してみられるため、この経路を阻害するulixertinibは「メラノーマや肺がん、大腸がん、低悪性度の卵巣がんなど、さまざまな種類のがんの治療に使用できる可能性がある」という。

メラノーマなどの治療で既に使用されているBRAF阻害薬やMEK阻害薬も、ulixertinibと同様、MAPK/ERK経路上の活性化因子を標的とした分子標的薬だ。しかし、これらの薬剤では治療を受けた患者の一部で耐性が生じることが知られており、その原因についてSullivan氏は「これらの因子はMAPK/ERK経路の上流側に位置しているため、阻害しても別の経路からERKが活性化されてしまうからだ」と説明する。こうしたことから、MAPK/ERK経路における「最終的な制御因子」であるERKを標的とすれば、がん細胞の薬剤耐性を回避できる可能性が示されていたという。

また、BRAF阻害薬はBRAF遺伝子のコドン600における変異(BRAF V600変異)がある患者に対して使用されるが、それ以外のBRAF遺伝子変異を有する患者に対する治療薬はなかった。ulixertinibは、こうした患者に有用である可能性がある。

副作用に関しては、同氏らは「許容できる忍容性プロファイル」であり、「ほとんどの副作用は重大なものではなかった」としているが、今回はまだ小規模な第1相試験の段階であるため、今後より大規模な試験で安全性を検証する必要があるとの見解を示している。

米レノックス・ヒル病院のStephanie Bernik氏は「情報の伝達を最終的な段階で阻害し、がん細胞の増殖を止めるこの新薬には大きな可能性がある」と期待を寄せ、「同薬を他の治療薬と併用すれば相乗的な効果が生まれ、がん細胞が増殖を続けることをさらに困難にさせるものと考えられる」としている。

この臨床試験は同薬の開発元であるBiomed Valley社の資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2017年12月15日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/new-cancer-drug-shows-promise-against-wide-range-of-tumors-729374.html

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Woman placing her arms on her head while standing in front of a machine in an examination room

化学療法受けない早期乳がん患者が増加

近年、早期乳がん患者に対する化学療法の実施件数が減少傾向にあることが、米スタンフォード大学内科・健康研究准教授Allison Kurian氏らによる研究で明らかになった。同氏らは「一部の早期乳がん患者では化学療法の(副作用による)有害性が有益性を上回る場合があることが、医師や患者に認識されるようになったことが一因ではないか」としている。詳細は「Journal of the National Cancer Institute」12月11日オンライン版に掲載された。

Kurian氏らは今回、米国のがん登録(SEER)のデータベースを用い、ジョージア州およびロサンゼルス市内で2013~2015年に早期乳がんの治療を受けた女性2,926人を対象に化学療法の実施状況を調査した。対象者はステージ1~2で、エストロゲン受容体陽性かつ上皮成長因子受容体(EGFR)2陰性の乳がんだった。

その結果、対象者における化学療法の実施率は、2013年の34.5%から2015年には21.3%へと低下していた(P<0.001)。また、リンパ節への転移がある患者に対する化学療法の実施率は、同期間に81.1%から64.2%に低下。リンパ節転移がない患者でも、実施率は26.6%から14.1%に低下していた。さらに、主治医から化学療法を勧められたと回答した早期乳がん患者の割合も、2013年の44.9%から2015年には31.6%に低下していた。

このほか、臨床腫瘍医504人にも化学療法やがんの治療薬の効きやすさを調べるための遺伝子検査の実施状況について尋ねたところ、医師の勧める治療と患者が望む治療が一致しない場合には、医師はがんの遺伝子検査を実施する確率が高いことも分かった。

ただ、Kurian氏らによると同期間に国や学会などが策定した乳がん診療ガイドラインにおける化学療法の推奨内容に大幅な変更はないという。同氏は「多くの医師が治療の個別化を目指し、化学療法の副作用をできるだけ軽減しようとしていることが、この結果に反映されたのではないか」との見方を示す。その上で、「こうした近年の化学療法の実施状況の変化が長期的にはどのような結果を招くかについては不明だ」と話している。(HealthDay News 2017年12月13日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/many-with-early-breast-cancer-are-skipping-chemo-729289.html

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1-2 HDN12月21日「ヘルスハイライト」No.1

心臓以外の手術でも7人中1人に術後の心筋障害リスク

以前から、心臓以外の手術(非心臓手術)が術中あるいは術後の心筋障害(周術期心筋障害;PMI)のリスクや、それによる死亡リスクを上昇させる可能性が指摘されている。PMIは明らかな症状がないことが多いため見逃されやすいが、その頻度はこれまで考えられていたよりも大幅に高いことが、バーゼル大学(スイス)のChristian Puelacher氏らによる研究で明らかになった。高齢患者などリスクの高い非心臓手術患者約2,000人の約7人中1人にPMIが認められたという。詳細は「Circulation」12月4日オンライン版に掲載された。

Puelacher氏らは今回、2014~2015年に同大学病院で人工関節置換術やがんの摘出術などの非心臓手術を受けた患者のうち、65歳以上の高齢患者および45歳以上で冠動脈疾患や脳卒中、末梢動脈疾患の既往歴がある高リスク患者2,018人(年齢中央値74歳、女性42%、手術件数は計2,546件)を対象とした前向き研究でPMIの発生頻度について検討した。PMIは術前評価で測定された心筋障害のマーカーである高感度心筋トロポニンT(cTnT)値が術後に14ng/L以上上昇した場合と定義した。

その結果、実施された非心臓手術2,546件中397件(16%)でPMIが認められた。術後30日の死亡率は非PMI例の1.5%に対してPMI例では8.9%と高かった(P<0.001)。また、PMI例のうち胸痛がみられたのは6%のみで、虚血に関連した症状がみられた例も18%にとどまっていた。

Puelacher氏によると、PMIを引き起こしうる要因は多岐にわたるため、患者ごとにPMIの治療法は異なるが、薬物療法ではβ遮断薬やスタチンなどが選択肢となるという。なお、同氏をはじめ専門家らは「高齢であることや心疾患があることを理由に必要な手術を回避すべきではない」と強調している。

この結果を受け、米国心臓病学会(ACC)リーダーシップ委員会外科部門のAlistair Phillips氏は「これまで、われわれは非心臓手術に伴う心筋障害の発生頻度を過少に見積もっていた」と指摘。ただし、今回の研究結果は「警告」としてではなく、手術患者の管理を向上させるためのデータとして前向きに受け止めるべきだとしている。その上で、同氏は「米国では心筋障害のマーカーであるcTnTの測定は最近承認されたばかりだが、cTnT測定が普及すればPMIを発症する手術患者をより管理しやすくなるのではないか」との見方を示している。(HealthDay News 2017年12月4日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-attack-news-357/even-non-heart-surgery-may-harm-your-heart-729015.html

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1-1 HDN12月18日「今日のニュース」No.2

早期乳がん患者の内分泌療法、より短期間でも予後変わらず

ホルモン受容体陽性の早期乳がん患者への内分泌療法の期間は5年間が標準とされていたが、その後さらに5年間継続しても、2年間継続した場合と比べて予後に差はないことがオーストリアで実施されたランダム化比較試験(RCT)で示された。この試験結果はサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2017、12月5~9日、米サンアントニオ)で発表された。

この試験を率いたウィーン医科大学総合がんセンターのMichael Gnant氏によると、乳がん治療の進歩にかかわらず、早期乳がん患者のうちホルモン受容体陽性の患者は再発リスクが持続してみられることが分かっている。そこで、一般的に再発予防のために乳がん細胞の増殖を促すエストロゲンを抑える薬剤を用いた内分泌療法が行われる。

こうした患者に対する内分泌療法の標準的な期間は5年間とされていたが、近年の研究ではより長期の内分泌療法によって再発リスクがさらに低減することが示されているという。ただ、どの程度治療を延長すべきかについては不明だった。

今回の試験では、術後に5年間の内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬のいずれかまたは両方を使用)を受けたホルモン受容体陽性で閉経後の早期乳がん患者約3,500人を、同療法をさらに2年延長(通算で7年間)する群と、5年延長(同10年間)する群にランダムに割り付けた。その結果、診断から平均で14年後の時点で再発することなく生存していた患者の割合は、2年延長群と5年延長群のいずれにおいても78%だった。一方、骨折の発生率は5年延長群の6%に対して2年延長群では4%と低かった。

この結果を踏まえ、Gnant氏は「内分泌療法は2年の延長で十分であり、それ以上の治療を行うべき理由はない。また、治療期間が短い方が骨折などの副作用の低減につながる」と説明している。

内分泌療法で使用されるアロマターゼ阻害薬などの薬剤では骨折やホットフラッシュ、性機能不全、筋肉痛および関節痛などの副作用が問題となることがある。今回の試験には関与していない米ペンシルベニア大学AbramsonがんセンターのSusan Domchek氏は「内分泌療法がうまくいく患者がいる一方で、副作用に苦しみ治療を中止したいと望む患者もいる」と説明する。

ただ、Domchek氏や米ダナ・ファーバーがん研究所のErica Mayer氏は「再発リスクなどに基づき個別に治療を決定する必要がある」と強調。今回の試験結果は患者ごとに適した治療を決める際に、その選択肢を広げることにつながるが、再発リスクの高い一部の患者には長期の内分泌療法が有益である可能性があるとの見解を示している。

今回報告された試験は、内分泌療法で使用される薬剤を製造するAstraZeneca社の資金提供を受けて実施された。なお、学会発表された研究は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年12月7日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/for-breast-cancer-patients-less-time-on-hormonal-meds-729193.html

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