1HDN10月15日「パッケージニュース」No.4

乳がん経験者のケモブレインにアルツハイマー病遺伝子が関与か

乳がん経験者でしばしばみられる化学療法が原因で生じる認知機能障害、いわゆる「ケモブレイン」は、アルツハイマー病に関連するAPOE4遺伝子を保有する女性のみで現れる可能性があることが、米ジョージタウン・ロンバルディ総合がんセンター腫瘍学教授のJeanne Mandelblatt氏らによる研究で示唆された。詳細は「Journal of Clinical Oncology」10月3日オンライン版に発表された。

Mandelblatt氏らは今回、認知症のない60~98歳の乳がん患者344人と年齢を一致させた健康な女性347人(対照群)を対象に、乳がんとその治療が認知機能の低下に及ぼす影響を調べた。対象者には研究開始時(治療開始前)に13種類の認知機能の検査を実施し、その1年後および2年後にも再検査を行った。

その結果、ホルモン療法を受けた女性では、APOE4遺伝子保有の有無にかかわらず、長期にわたる認知機能の低下はみられないことが分かった。一方、APOE4遺伝子を保有する女性が化学療法を受けた場合には、思考力と記憶力の低下が認められることが明らかになった。

Mandelblatt氏は「化学療法を受けた後に認知機能障害がみられる女性はごく一部であったが、そうした女性たちが他の女性たちと異なっていたのはAPOE4遺伝子を保有しているという点だった」と説明する。ただ、今回の研究では乳がん生存者のほとんどで化学療法やホルモン療法を受けた後に、治療を原因とする長期的な認知機能の低下はみられなかった。このことは、多くの乳がん生存者にとって良いニュースだと同氏は話している。

また、Mandelblatt氏は「APOE4遺伝子はアルツハイマー病の極めて強い遺伝的なリスク因子だ。おそらく化学療法とこの遺伝子が制御する何かとの間に相互作用が働いているのだろう」と考察している。ただし、この研究はAPOE4遺伝子がケモブレインの原因であることを証明したものではないため、「この結果が今後の研究で追認されるまでは慎重に解釈すべきだ。また、そのメカニズムや経路について解明を進める基礎研究も必要だ」と同氏は述べている。

なお、Mandelblatt氏によると、APOE4陽性者の割合はわずか20~25%で、高齢の乳がん患者のうち化学療法を受ける女性の割合は30%未満だという。さらに、今回の研究で観察された認知機能の低下度はわずかなもので、アルツハイマー病患者でみられるレベルではなかったとして、同氏は「化学療法を受ける乳がん女性は、重度の記憶障害が起こるのではないかと心配しないでほしい」と強調している。その上で、治療選択ではがんを克服することを目的とした治療を優先すべきだと付け加えている。

専門家の一人で米国がん協会(ACS)のLen Lichtenfeld氏もこれに同意し、「現在は化学療法を必要最小限に抑える治療が主流となっているが、がんが再発すればAPOE4遺伝子を保有していても化学療法は避けられない可能性がある」と指摘する。一方、APOE4遺伝子の保有状況を考慮してガイドラインを改定したり、遺伝子検査をルーチンで実施する前にはさらなる研究が必要だとの見方を示している。(HealthDay News 2018年10月3日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/alzheimer-s-gene-tied-to-chemo-brain-in-breast-cancer-survivors-738322.html

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2HDN糖尿病ニュース10月11日配信1

2型糖尿病患者で一部のがん罹患や死亡リスク増

2型糖尿病患者は一部のがんになりやすく、がんによる死亡リスクが高い可能性があることが、スウェーデンにおける約250万人を対象とした大規模観察試験から示唆された。詳細は、スウェーデン全国糖尿病レジストリ(Swedish National Diabetes Register)のHulda Hrund Bjornsdottir氏らが、欧州糖尿病学会(EASD 2018、10月1~5日、ドイツ・ベルリン)で発表した。

Bjornsdottir氏らの研究グループは、1998~2014年にかけてスウェーデンの2型糖尿病患者45万人以上と2型糖尿病のない患者200万人以上を対象に平均7年間追跡。12種のがんの発症率や死亡率について比較検討した。

その結果、2型糖尿病患者群では糖尿病のない患者群に比べて、肝臓がんリスクが231%、膵臓がんリスクが119%、子宮がんリスクが78%高いことが分かった。その他のがんについても、2型糖尿病患者群では陰茎がん(56%)、腎臓がん(45%)、胆嚢・胆管がん(32%)、胃がん(21%)、大腸がん(20%)、膀胱がん(20%)、乳がん(5%)のリスクが上昇することも明らかになった。

また、10年間に新たにがんと診断された人(がん罹患率)は、2型糖尿病患者群では糖尿病のない患者群に比べて、膵臓がんでは38%、肺がんでは30%増加していた。さらに死亡率についても、2型糖尿病患者群では糖尿病のない患者群に比べて、前立腺がんでは29%、乳がんでは25%、大腸がんでは9%高かった。

これらの結果を受け、Bjornsdottir氏は「糖尿病患者におけるがん罹患の絶対リスクの増加はわずかであり、これらの知見は、必ずしも糖尿病ががんを引き起こすことを意味するわけではない」と強調している。また、今回の研究は因果関係を示すものではないが、同氏は「糖尿病とがんには肥満や喫煙、食生活など共通したリスク因子があり、これらの因子が糖尿病とがんの関係に関与している可能性がある」と推察している。

研究グループによると、糖尿病有病者は全世界で4億1500万人を超える。これは成人の約11人に1人に相当し、患者数は2040年までに6億4200万人に上ると予測されている。Bjornsdottir氏は「この30年間で2型糖尿病の患者数は倍増している。この結果は、糖尿病ケアを向上させていくことの重要性を改めて示すものであり、健康的な生活習慣を送ることが大切であることは、かつてないほど明らかだ」と指摘している。

なお、学会で発表された研究結果は、査読を受けた専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2018年10月2日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/type-2-diabetes-tied-to-raised-risk-of-tumors-cancer-deaths-738217.html

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1HDN10月9日「パッケージニュース」No.2

経口避妊薬の使用で卵巣がんリスク減

これまでの研究で、経口避妊薬を使用する女性は卵巣がんに罹患するリスクが低いことが報告されている。今回、新たな研究で、旧タイプとは含有成分が異なる新しい経口避妊薬にも卵巣がんの予防効果がある可能性が示唆された。英アバディーン大学のLisa Iversen氏らが実施した研究によると、低用量のエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲストーゲン(黄体ホルモン)が配合された比較的新しいタイプの経口避妊薬は、長期にわたり卵巣がんへの予防効果を示し、服用を中止した後もその効果は数年間持続することが分かったという。詳細は「BMJ」9月26日オンライン版に掲載された。

Iversen氏らは今回、ホルモンの配合や濃度が旧タイプとは異なる新しい経口避妊薬でも卵巣がんの罹患リスクが低減するのかどうかを検討するため、エストロゲンとプロゲストーゲンを配合する混合型の経口避妊薬に加えて、プロゲストーゲンのみを含有する製剤についても、卵巣がんの罹患リスクへの影響を調べた。

研究では、1995~2014年のデンマーク国内の処方記録やがん登録のデータを用いて、15~49歳の女性187万9,227人を対象に、ホルモン避妊薬の使用経験がない群と現在使用中または1年以内に使用した群、使用を中止してから1年以上経過している群の3つの群に分けて前向きに追跡した。その結果、対象女性の86%が新しい混合型経口避妊薬を使用していた。

年齢やその他の因子で調整した解析の結果、卵巣がんの罹患率は経口避妊薬を使用した経験がない女性で最も高いことが分かった。また、混合型の経口避妊薬をどこかの時点で使用した経験のある女性は、卵巣がんの罹患率が大幅に低いことも明らかになった。一方、プロゲストーゲンのみを含有する経口避妊薬を使用していた女性では、卵巣がんに対する予防効果は認められなかった。全体として、経口避妊薬を使用すると卵巣がんの罹患リスクを21%低減できると推定された。

これらの結果について、専門家の一人で米レノックス・ヒル病院のJennifer Wu氏は「これまでの研究から、経口避妊薬を長期にわたり使用する女性は卵巣がんの罹患リスクが有意に低いことが明らかになっている。この研究は、新世代の経口避妊薬にも同様な予防効果があることが再確認されたにすぎない」と指摘している。また、同氏は、卵巣がんは見過ごされやすく致死率も高いことから、「だからこそ予防が肝心だ」と強調しつつ、「医師は、経口避妊薬の使用について患者と話し合う際には、卵巣がんリスクを低減できる可能性についても考慮すべきだ」と付け加えている。(HealthDay News 2018年9月26日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/ovarian-cancer-news-104/newer-birth-control-pills-tied-to-lower-odds-for-ovarian-cancer-737993.html

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1HDN10月1日「パッケージニュース」No.4

閉経前の卵巣摘出で慢性腎臓病リスク上昇か

閉経前に両側の卵巣を摘出した女性は、慢性腎臓病(CKD)を発症するリスクが高い可能性があるとする研究結果が「Clinical Journal of the American Society of Nephrology」9月19日オンライン版に発表された。研究を実施した米メイヨー・クリニックのWalter Rocca氏らは、卵巣摘出後に女性ホルモンのエストロゲンが欠乏することが要因ではとの見方を示している。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国ではCKDは9番目に多い死因であるという。CKDが進行して末期腎不全に至ると、透析の導入や腎移植が必要になる。これまでの研究で、女性ホルモンであるエストロゲンが腎臓に保護的に働くことが示されていた。そこで、Rocca氏らは今回、閉経前女性を対象に両側の卵巣摘出による腎機能への影響について検討した。

対象は、1988~2007年に、50歳になる前に両側の卵巣を摘出したミネソタ州の閉経前女性1,653人(卵巣摘出群)と、年齢をマッチさせた(±1歳)同数の卵巣を摘出していない女性(対照群)。中央値で14年間の追跡を実施した。

解析の結果、追跡期間中のCKDの発症率は、対照群の13.6%に対して卵巣摘出群では20.2%であり、卵巣摘出群でCKDリスクは1.42倍であった。特に、45歳以下の女性におけるCKD発症率は、対照群の10.1%と比べて卵巣摘出群では17.6%と、卵巣摘出群でそのリスクは1.59倍であることが分かった。

Rocca氏によると、今回の研究は比較的若い女性においてエストロゲンの欠乏と腎機能の障害が関連することを示した初めてのものだという。今回は因果関係が証明されたわけではないが、この結果を踏まえ、同氏らは「卵巣摘出術について検討している女性はCKDのリスクが高まることを認識しておくべきだ。乳がんや卵巣がんの遺伝的なリスクが高い場合を除けば、予防的な卵巣の摘出は勧められない」と述べている。(HealthDay News 2018年9月19日)

https://consumer.healthday.com/women-s-health-information-34/estrogen-news-238/ovary-removal-linked-to-kidney-disease-737838.html

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1HDN9月27日「パッケージニュース」No.2

ジカウイルスワクチンが膠芽腫治療に有望な可能性

ジカ熱の原因ウイルスであるジカウイルスは、妊婦が感染すると新生児の小頭症リスクが高まることが知られ、世界的に問題視されている。しかし、このジカウイルスが脳細胞に感染する能力を活用することで、悪性度の高い脳腫瘍の一つである膠芽腫の治療に応用できる可能性があることが、マウスを用いた実験で示された。ジカウイルスの弱毒化生ワクチン候補と再発の原因となる膠芽腫幹細胞をマウスの脳に注入したところ、腫瘍の成長を抑えられることが分かったという。詳細は「mBIO」9月18日オンライン版に掲載された。

膠芽腫は成人の脳腫瘍の中でも最も一般的で悪性度が高い。米国では年間1万5,000人が膠芽腫で死亡すると推計されており、上院議員だった故ジョン・マケイン氏やエドワード・ケネディ氏も膠芽腫を患っていたことが知られている。

この研究は、米テキサス大学医学部ガルベストン校のPei-Yong Shi氏と中国軍事医学科学院のCheng-Feng Qin氏らが率いる国際共同研究チームが行ったもの。同氏らはまず、培養組織とモデルマウスを用いた実験で、ジカウイルスが膠芽腫幹細胞を攻撃することを確認した。次に、研究グループが既に開発していたジカウイルスの弱毒化生ワクチン候補と膠芽腫幹細胞を混合してマウスの脳に注入する実験を行った。別のマウスには、ワクチン候補を混合せず膠芽腫幹細胞のみを注入した。

その結果、膠芽腫幹細胞のみを注入したマウスの脳では急速に膠芽腫が発生したのに対し、ジカウイルスワクチン候補を注入したマウスでは腫瘍の成長は抑えられ、膠芽腫の発生は緩やかであることが分かった。また、マウスの生存期間(中央値)は膠芽腫幹細胞のみを注入したマウスは30日だったのに対し、ワクチン候補を投与したマウスでは48日と長いことも明らかになった。

Qin氏らによると、ジカウイルスの能力を利用することで腫瘍が再発する原因となる膠芽腫幹細胞を標的として選択的に攻撃できるという。同氏は「膠芽腫幹細胞を標的とした治療が開発できれば、膠芽腫の再発を抑えられるだけでなく治癒も目指せるだろう」と話している。その上で、「この研究はごく初期段階のものだが、将来的には膠芽腫に対する外科治療と同時にジカウイルスワクチンを投与する治療が実現する可能性がある」と展望している。

一方、専門家の一人で米ノースショア大学病院のMichael Schulder氏は「膠芽腫の治療は動物実験で有望とされても、その後の研究がうまくいかないものが多い。しかし、今回の研究でジカウイルスの脅威をうまく利用した発想は独創的だ」と話している。なお、Shi氏らは、次のステップとして膠芽腫患者を対象にこの方法の安全性を評価する試験を実施したいとしている。(HealthDay News 2018年9月18日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/brain-cancer-news-93/could-the-zika-virus-fight-the-brain-cancer-that-killed-john-mccain-737827.html

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1HDN9月18日「パッケージニュース」No.1

世界成人14億人に運動不足による疾患リスク、WHO調査

世界で成人の4人に1人が運動不足による疾患リスクに直面しているとみられることが、世界保健機関(WHO)の研究チームの調査で明らかになった。14億人を超える成人が座りがちな生活による運動不足が原因で心疾患や糖尿病、認知症、一部のがんを発症しやすい状態にあるという。詳細は「The Lancet Global Health」9月4日オンライン版に掲載された。

WHO非感染性疾患予防部門のRegina Guthold氏らは今回、世界168カ国、計190万人の18歳以上の成人を対象に実施された358件の調査データを用いて、国や地域別の運動不足の人の割合について分析を行った。

その結果、2016年には世界の女性の約3人に1人(31.7%)、男性の4人に1人(23.4%)が推奨される身体活動レベル(中強度運動を週に150分以上または高強度運動を週に75分以上)に達していないことが分かった。また、東アジアと東南アジアを除く全ての地域で、女性は男性に比べて運動量が少ないことも明らかになった。

そのほか、高所得国では、2001年から2016年にかけて運動不足の成人の割合は約5ポイント増加し36.8%に達したのに対し、東アジアや東南アジアといった低所得国では0.2ポイント増の16.2%にとどまっていた。この結果について、Guthold氏らは、高所得国ではデスクワークなどで座りがちな仕事が増えたことや車社会の発達で運動不足が加速しているのではとの見方を示している。

これらの結果を踏まえ、Guthold氏らは「自転車や徒歩で通勤したり、積極的にスポーツを楽しめるようなインフラ整備を国レベルで進めることが重要だ」と指摘している。論文の共著者でWHO同部門のFiona Bull氏は、こうした取り組みにおいては、特に女性が運動できる環境を整備して運動量の男女差を解消することが不可欠だと付け加えている。

この研究論文の付随論評を執筆したシドニー大学(オーストラリア)のMelody Ding氏によれば、一部の国や地域では女性が運動するのを妨げる社会的、文化的な障壁があり、例えば、女性の活動が著しく制限されるサウジアラビアやイラクでは成人の約半数が運動不足であると推計されるという。同氏はまた、「今回の調査では低所得国よりも高所得国で運動不足の蔓延が深刻化しているという結果が得られたが、運動不足に関連する疾患の負荷は低中所得の国でより大きいことにも注意が必要だ」と話している。(HealthDay News 2018年9月5日)

https://consumer.healthday.com/fitness-information-14/misc-health-news-265/over-1-4-billion-of-world-s-adults-face-disease-because-of-inactivity-who-says-737408.html

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1HDN9月10日「パッケージニュース」No.1

10代後半の飲酒で高悪性度の前立腺がんリスク増

10歳代の後半に1日1杯以上の飲酒をしていた男性は、全く飲酒をしなかった男性に比べて後に悪性度の高い前立腺がんになりやすいことが、新たな研究で示唆された。また、生涯の飲酒量が多いことも前立腺がんリスクの上昇と関連することが分かったという。詳細は「Cancer Prevention Research」8月23日オンライン版に掲載された。

この研究は、米ノースカロライナ大学公衆衛生大学院のEmma Allott氏らが実施したもの。同氏らは、2007~2018年に米ダラムの退役軍人病院で前立腺生検を受けた男性650人を対象に、質問票を用いて週当たりの飲酒量を尋ね、年代別や生涯の飲酒量と前立腺がんリスクとの関連を調べた。参加者の年齢は49~89歳で、前立腺がんの既往はなかった。

参加した男性のうち325人が前立腺がんと診断され、そのうち88人は高悪性度と判定された。参加者を週当たりの飲酒量で3つの群(飲酒なし、1~6杯、7杯以上)に分けて前立腺がんリスクを比較したところ、15~19歳の間に週7杯以上の飲酒をしていた男性は、飲酒をしなかった男性に比べて前立腺がんリスクが高いことが分かった(オッズ比は3.21)。20歳代や30歳代、40歳代に週7杯以上の飲酒をしていた男性でも同様の結果が得られた。

また、生涯の飲酒量も前立腺がんリスクと関連しており、参加者を生涯の飲酒量で3つの群に分けて検討したところ、最も飲酒量が多かった群で高悪性度の前立腺がんリスクが高かった(オッズ比は3.20)。一方で、現在の飲酒習慣と前立腺がんリスクとの間に関連はみられなかった。

この研究は飲酒が前立腺がんの原因であることを裏付けるものではない。また、今回の研究方法には、自己申告した飲酒量であったことや喫煙習慣などが結果に影響した可能性があること、対象者の数が少ないなどの限界があったことをAllott氏らも認めている。さらに、この研究では10歳代半ばから飲酒の習慣を続けた場合の前立腺がんリスクへの影響については考慮されていなかった。

しかし、Allott氏は「若年期の飲酒は体に何らかの影響を及ぼす上に、前立腺は10歳代後半に急速に成長することから、この時期は体が発がん物質の影響を受けやすい可能性が考えられる」と指摘する。そのため、今回の結果を受けて、成人期だけでなく生涯を通した飲酒の習慣が前立腺がんのリスク因子として今後、注目されるようになることが期待されるとしている。

専門家の一人で米ハーバード大学医学部放射線腫瘍学教授のAnthony D’Amico氏も、Allott氏らの研究は因果関係を証明するものではなく、男性ホルモンの働きを抑える薬剤の使用なども前立腺がんの原因になると指摘している。また、今回の参加者が前立腺がん検診を受けていたかどうかも明らかでなく、「検診を受けていない場合、発見されたときには前立腺がんが進行していた可能性も考えられる」と話している。(HealthDay News 2018年8月29日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/prostate-cancer-news-106/is-teen-drinking-tied-to-aggressive-prostate-cancer-later-in-life-737135.html

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1HDN9月3日「パッケージニュース」No.2

脳腫瘍の放射線治療が小児の記憶に及ぼす影響は?

髄芽腫と呼ばれる小児の脳腫瘍に対する放射線治療は記憶に影響する可能性があり、その仕組みの一端を解明したと、米ベイラー大学心理学・神経科学のMelanie Sekeres氏らが「JNeurosci」8月20日オンライン版に発表した。脳腫瘍への放射線治療を受けた7~18歳の小児や若者では、そうでない者に比べて過去1カ月以内に経験した出来事の時間や場所などを思い出せないことが多いことが分かった。一方、放射線治療を受ける前の出来事に関する記憶には影響はみられなかったという。

髄芽腫は小児で最もよくみられる脳腫瘍で、米国では年間250~500人が髄芽腫と診断されている。治療には外科手術と抗がん剤による化学療法、放射線治療を組み合わせて行うが、このうち放射線治療は生存率を向上させるものの小児の脳の発達に影響を及ぼすことが指摘されている。

米ベイラー大学心理学・神経科学のMelanie Sekeres氏らは今回、7~18歳の髄芽腫患者12人および同じく脳腫瘍である上衣腫の患者1人の計13人の患者と対照とした同年代の健康な9人を対象に、最近および過去に自分が経験した出来事の記憶力を比べる研究を実施した。なお、患者はいずれも外科手術後に放射線治療と化学療法を受けていた。

研究では、対象者に過去1カ月以内に経験した出来事と覚えている限り最も古い出来事について、それぞれの詳細を思い出してもらった。その結果、脳腫瘍の放射線治療を受けた場合には、健康で治療を受けていない場合に比べて最近の出来事の時間や場所を思い出せないことが多かった。しかし、過去(放射線治療を受ける前)に経験した古い出来事に関する記憶については、放射線治療の有無で差はみられなかったという。

Sekeres氏は「頭部への放射線治療により短期的な記憶喪失や学業不振など認知面に影響が出ることは知られていたが、自伝的記憶(autobiographical memory)が保持されるかどうかについては、あまり注目されてこなかった」と話す。しかし、放射線治療の実施前に形成されていた記憶が、治療後にも保持されていたことは予想外だったと、同氏は付け加えている。

今回の結果が得られた背景について、Sekeres氏は、頭部への放射線治療を行うと記憶を司る海馬の神経細胞の成長が阻害されることが考えられるが、それ以外にも、治療によってもたらされた脳全体の変化が記憶障害に関与しているのではとの見方を示している。

専門家の一人で米ジョンズ・ホプキンス大学キンメルがんセンターのMatthew Ladra氏は、今回の結果は記憶の仕組みの解明に新たな展開をもたらすものだと賞賛する。その上で、「次の段階では、記憶力を改善するのにどのようなリハビリテーションが有用なのかを検討することが必要になるだろう」と述べている。(HealthDay News 2018年8月21日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/kids-ailments-health-news-434/radiation-for-childhood-brain-tumor-can-hinder-memory-736874.html

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1HDN8月30日「パッケージニュース」No.1

がん臨床試験で患者の生存率に地域格差みられず

がん患者の生存率にみられる地域格差は、治療の質の差が原因で生じている可能性のあることが、がん臨床試験データをレビューした新たな研究で示唆された。この研究によれば、臨床試験に参加し、均一な治療を受けられる環境では、都市部に住むがん患者と地方に住むがん患者の間で生存率に差は認められなかったという。詳細は「JAMA Network Open」8月17日オンライン版に掲載された。

これまでの研究では、都市部に住むがん患者に比べて、地方に住むがん患者は生存率が低く、予後には地域差があることが報告されている。米疾病対策センター(CDC)の推計によると、2011~2015年のがん患者の死亡率(10万人当たり)は、地方の患者では180人だったのに対し、都市部の患者では158人とされている。

米フレッド・ハッチンソンがん研究センターのJoseph Unger氏らは今回、1986~2012年に米国50州で実施された第2相または第3相の臨床試験に参加した3万6,995人のがん患者を対象に、後ろ向き研究によって生存率の地域差について調べた。患者のがん種は脳腫瘍や乳がん、大腸がん、白血病、肺がん、リンパ腫、卵巣がん、前立腺がんなど17種類であった。

その結果、臨床試験の登録時から5年後の全生存率と無増悪生存率、がん特異的生存率はいずれも、エストロゲン受容体陰性およびプロゲステロン受容体陰性の乳がんを除く全てのがん種で、都市部の患者と地方の患者との間に有意な差はみられないことが分かった。

Unger氏らは、こうした結果が得られた背景には、例えば、初回治療終了後に継続的な化学療法を適切な時期に受けられるかどうかなど、いくつかの因子が関与しているのではないかと指摘している。

また、この結果について、Unger氏は「これまでの研究と同様に、がん患者の生存率には地域差が認められると予想していたため、この結果は意外なものだった」と話している。臨床試験では、ガイドラインを遵守した厳密なプロトコルに基づいて患者を評価し、治療やフォローアップを行うため、参加した患者は標準化された治療を受けることができる。そのため、同氏は「全ての患者が同じ質の治療を受けられれば、がん患者の生存率に現在みられている地域格差は解消するだろう。地方のがん患者の予後を改善するには、質の高い治療を受けられるように環境を整備するのが最善の方策だ」と付け加えている。(HealthDay News 2018年8月17日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/health-care-access-and-disparities-news-752/clinical-trials-balance-out-urban-rural-cancer-survival-rates-736799.html

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1HDN8月20日「パッケージニュース」No.4

HPVワクチンは推奨年齢以降のキャッチアップ接種も有効

米国では11~12歳の女児に対してヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種が推奨されているが、推奨年齢でワクチンを接種しなかった14~20歳の女児や女性に対する「キャッチアップ接種」の有効性を示した研究結果が「The Lancet Child & Adolescent Health」8月7日オンライン版に発表された。キャッチアップ接種は13~26歳のうちに行うことが推奨されているが、この研究では初回接種が21歳以降だった場合には有意な効果は認められなかった。専門家らは「HPVワクチンは推奨年齢での接種率向上を目指した上で、キャッチアップ接種もできるだけ若いうちにすべきだ」と主張している。

この研究は、米カイザー・パーマネンテ研究部門のMichael Silverberg氏らが実施したもの。同氏らは、4価HPVワクチンのキャッチアップ接種による子宮頸がんの前がん病変リスクの低減効果について検討するため、カイザー・パーマネンテ・北カリフォルニアの患者データを用いてコホート内症例対照研究を行った。

対象は、米国で4価HPVワクチンが導入された2006年の時点で26歳以下だった女性のうち、1995年1月~2014年6月に子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)分類でグレード2以上(CIN2+)の病変が発見された4,357人(症例群)と、年齢を一致させたCIN2+の病変がない2万1,773人(対照群)。なお、症例群のうち1,849人はCIN分類でグレード3以上(CIN3+)であり、その対照群は9,242人だった。

解析の結果、14歳以降でもHPVワクチンを1回以上接種すると、CIN2+およびCIN3+の病変の予防効果が認められた。また、HPVワクチンによるこれらの病変の予防効果は、初回接種が14~17歳または18~20歳で、かつ計3回以上接種した場合に最も高いことも分かった。一方、初回接種が21歳以降だった場合には、ワクチン接種によるこれらの病変の有意な予防効果は認められなかった。

以上を踏まえ、Silverberg氏は「HPVワクチンはできるだけ低年齢のうちに接種した方が予防効果は高いことが示されたが、21歳以降に接種した場合の有効性は明らかにされなかった。今後の研究では、導入されて間もない9価HPVワクチンを使用した場合など、異なる条件下で21~26歳の女性にHPVワクチンを接種した場合の有効性を評価する必要がある」と話している。

また、米アラバマ大学のSarah Dilley氏らは同誌の付随論評で、今回の結果はこれまでの研究と一致していると指摘しつつ、「HPVワクチンの接種は11~12歳の女児を優先すべきだが、思春期のできるだけ早い時期の接種率向上を目指す取り組みも必要だ」と話している。また、同氏らは「米国ではHPVワクチンの接種率が低いため、キャッチアップ接種が重要であることに変わりはない」と強調。「26歳までのキャッチアップ接種の有効性を示した前向き研究の報告があることから、こうした接種を止めるか否かを判断するには、さらなるデータが必要だ」との見解を示している。(HealthDay News 2018年8月8日)

https://consumer.healthday.com/sexual-health-information-32/human-papillomavirus-hpv-news-756/catch-up-hpv-shots-work-for-teen-girls-736523.html

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